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誰だコレ
金髪だしギザギザした特徴的な歯を見せながらニコニコと笑っているし…本物か？
正座して手をつき俺を見る様がいつもの我儘傍若無人な三橋サマとは違いすぎて脳が同一人物だと認識しないっていうか。
「A君ダイジョーブですか？」
心配そうに覗き込んできた三橋から飛び上がって距離を取ると心底傷ついた顔で見られてしまい良心がズキズキと痛む。あっ俺だめだこれ
「バトンタッチ」
俺の完全にお手上げですという雰囲気を感じ取ったのかツッパリ君達は覚悟を決め、あの良い人オーラ全開の三橋へと向かっていく。俺はそれを広縁に設置されている椅子に座り様子を伺う。
そんな時、運の悪いことに佐川君が起きてしまった
「俺の刺身食いやがって！楽しみにしてたんだぞ！」
「ごめんなさい、僕が悪いんです。つい魔がさしてしまって、…ごめんなさい！」
ザワザワと動揺が走る不良達へとペコペコ頭を下げて何度も謝る三橋。どうやら酒を飲むと気が弱くなるらしい。これはチャンスだとばかりに数人が三橋の前に座り其々コップを手に酌をしやがれと威張り始めた
「ハイ！センパイ喜んでお酌させて頂きます！」
酔い方って人それぞれなんだなあと他人事の様に見守っていると、ふと目があった三橋がヘラリと笑い目の前までやってくると正座して椅子に座る俺を見上げ首を傾けた
「A君は飲みますか？」
「飲みません…」
「僕がお酌したのは嫌ですよね…」
顔を手で隠してシクシクと悲しむ三橋に罪悪感が溢れ、慌てて違うから顔を上げてくれと伝えると恐る恐るこっちを見る
心臓が忙しなく動くせいで痛い
「俺お酒そんなに好きじゃないの！だから飲まないんだ」
「そーなんですか、いつもメーワクを掛けてしまっているからてっきり嫌われたのかと…」
「結構楽しんでるから」
「良かったです！」
ヘラヘラと笑う三橋に、ほっとしてお前はあまり飲むなよと言えばコクコクと首を振る
「肩凝ったぞ、肩モメ！」
「ハイ勿論です！」
すぐに呼ばれた方へ飛んでいき人の良さそうな笑顔で肩を揉むが、ゴリリゴキっという肩揉みにしては物騒な音が部屋に響き男は白目を向いて倒れた。
「そんな力で揉む奴があるか！詫びに酒買ってこい！」
「ごめんなさい…今すぐ買ってきます！」
「待って俺も一緒に行くわ」
「A君はなんていい人なんだ…」
感動している酔っ払い三橋は直ぐにまたニコニコとし始めて早く行こうと腕を引っ張る
この三橋は苦手だけど放ってはおけない
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作成日時：2019年10月4日 23時
