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「伊藤くんは友人ですから、困っている時はお互い様ですから」
「いやぁ、弱虫を助けるのは男として当然のことですよ!」
そう言うと三橋はお母様の前にススっと移動し茶菓子として出されたショートケーキを覗き込む
よだれ垂らしてんじゃねーよ…俺の分もあるのに
「とっても美味そうですねえー」
「どうぞ召し上がってください」
勧められた瞬間頂きます、と言って両手にケーキを持ちバクバクと齧りつき、ボロボロ零しながら美味しい美味しいと食べる。三橋の周りのこぼした屑を集めたり摘んだりして皿へと移動させた。
「ほら口の周りついてっから、こっち向け」
「んむむ〜っ」
俺は幼児を相手にしているのだろうか、我儘で機嫌の赴くままに生きているところなんか似てるよね。
最近持ち歩くようにしているハンカチで顔を綺麗に拭いてやり、ケーキはくれてやった。
紅茶を頂き、ほっと一息つく
お金持ちのお茶は…うまいなあ
ズズーッという音に若干雰囲気がぶち壊されるが、仕方ないね…
「こんなに美味いケーキ二つも食わせてもらったのはじめてだなー」
「よかっね、美味そうでヨ」
「あれ一つはAのだったのか」
気づかなかった、そう笑って言ったので軽く肩を小突いた。わざとな癖に
「フフフ、とっても元気がいーのね。真司さんもこれくらい元気がいいといいのにね」
引かずに笑いそういうお母様は本当に楽しそうだった。お母様、伊藤くんはものすごく元気があるどころか有り余って学校では暴れております
「そんなこ「そーなんですよね」おい」
「このバカやたら暗くてね、俺がいないとイジメられるし」
伊藤くんが強く言えない状況が余計に調子に乗せてしまっているようで、好き放題言ってはケタケタと笑っている
「なんならこの弱虫、根本から叩き直してやりましょーか!」
「テメー」
「オオ、まるで不良のよーな口の利き方!」
「うぐぐっ」
怒りや悔しさといった色々な感情を織り交ぜた表情で笑う伊藤くんは苦しそうだ。
「こやつも最初に比べ随分強くなりました。まぁ、これも俺の特訓の成果ってやつです。な?」
少し離れたところでのんびり観察していたのに、首をぐるりと回してニッコリと笑いながらも「わかってんだろ?」という目をしてこっちを見た
「お、オオ…そーだね」
居心地が悪く視線を逸らしまたお茶を飲む
やめてやめて、こっち見ないで
「学校でイジメられて困っている子がいるの、その子も強くしてやっていただけます?」
「任せなさい!僕は天才です!」
人選ミスだと思います
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作成日時:2019年10月4日 23時