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白くきめ細かな肌とさらりと長い漆黒の髪、にこやかな笑顔。美人、それ以外言葉が見当たらない。
急に訪ねてきた俺たちへ嫌な顔一つしないどころか喜んでいる…もう羨ましいとかじゃない。
怖い、知らない世界過ぎて怖い
ゆっくりしていらしてねと言った伊藤くんのお母様は、俺たち2人を見て困ったように眉を下げる
「真司さんなかなか御友人を連れてこないし、たまに怪我して帰って来て…もしかしたらイジメられているんじゃないかと心配していたのよ」
「やだなぁ、話したでしょ。この人達が三橋くんとAくんだよ」
「急に伺ってすみません、伊藤くんとは親しくさせて頂いてます。Aです」
お前も何か言えよ、と目で合図するがさっきから目が泳いでいる彼にはその意図は通じず
震えた声で小さく何か言った、聞こえなかったので耳を近づけ聞き直すとコソコソと話し出す
「あの人だれだ?伊藤が買ったのか?」
「指差すのやめなさい、伊藤くんのお母さんだろ。そっくりじゃん」
そう耳打ちするとぎょっと目を開けまた魚みたいに口をパクパクして茫然とし、目を白黒させ伊藤母を眺めている。落ち着きがない
そして伊藤くんを睨んだ、何かの結論に至ったらしい
「三橋さんはハーフなんですよね、お父様かしらお母様かしら」
は、ハーフ!?
びっくりして伊藤くんを見ると手で顔を覆っていた。
そうだね、金髪の友達でツッパリだよ!なんて言えないね…だからってハーフはないだろ!?
「へ?」
いきなり捏造された親の話をされ、動揺し狼狽える三橋を追い詰めるように「どこの国の方ですか?」と迫る伊藤母
伊藤くんもフォローするのかと思ったら、自分の親のことじゃないかーと迫っていた
「が、外国人と日本人とのハーフです」
だらだらと汗を垂らしながらぎこちない笑顔で答えた三橋はやりきった雰囲気を出していた
トンチみたいだが良く出たな
「まぁそうなんですか!へぇー」
口に手を当て笑う伊藤母は次に俺を見た
来るか俺のターン
「Aさんは音楽グループをしているんですよね、ジャンルはどのようなものなのかしら」
伊藤くんの足をバレないように軽く踏んだ
イテテ、と言う声が聞こえるがきっと幻聴だろう…
音楽って…
「ば、バンド組んでロック系を少し…」
「まぁ!楽しそうですね」
「ハハハハハ……」
肩を軽く何度か叩かれ他ので振り返ると、わかるぞと言いながら頷く三橋
三橋に同情されるなんて…
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作成日時:2019年10月4日 23時