２５. ページ30
「どっこいせ…」
伊藤を先に座らせ、次に重症な今井くんに手を貸し自分も座った
コンクリートの壁が程よく冷たいので怪我をして熱くなっているところに当てると気持ちいい
「あの灰色集団恐ろしいわ…」
「だな…1人1人がそこら辺の兄ちゃんより強い」
「すまん…元は俺のせいだ…」
肩を落として反省する今井くん
何かやらかしちゃったのかなー…
三人同時にため息をつき、時間が過ぎるのを待つ
体力が思ったより回復しないのは怪我のせいだろうか
そこへ慌てた様子で走ってやってきた三橋
運んでる間に聞いた話では彼も強い相手と喧嘩していたはずだ…よな？
無傷じゃん…
「おい！こんな所で何してんだヨ、大ボスゴリラ来ちまうぞ！」
俺がこの喧嘩に巻き込まれたのはこいつのせいだ
財布さえ盗られてなきゃ俺は普通に帰っていたんだ
「財布返せコラ」
「うお？Aいつの間に…ってちがーう！伊藤、京子ちゃん達は？」
「逃すに決まってんだろ…あのゴリラ来るんだからよ」
大ボスゴリラ…以前に会ったあのデカイ兄ちゃんか
顎殴られて微動だにせんヤバイ奴
「悪かったな…こんな大事になっちまって」
「今井くんのせいじゃないデショ、1人相手に複数でやる相手が悪い」
落ち込む今井くんをなんとか励まそうと良い事を言った。
隣で頷く伊藤くん、俺恰好いいこと言ったよね
すると三橋はそんな今井くんに叫びながらチョップした。
ボロボロの人に何やってんだ…
「そうだよ！お前のせいだ何開久に喧嘩売ってんだよこの馬鹿チンがァ！」
「そういやテメェ人を川に突き落として逃げやがって！」
「あーあ…」
怪我してるのにタフな事で…さっきまでフラついていた今井くんはすっかり元気になったようで、立ち上がり三橋と口喧嘩をし始める
そんなに元気なら大ボス来る前に運んでほしい
「だァァ！さっさとズラかるぞ！おいA、お前は動けるだろ？そんな重傷じゃなさそうだもんな！イトー担げ！」
「無理、ここ来る前にもやってて体力ねー」
「もぉ〜！」
元気なお前が担げ、と言ってやろうと顔を上げ一瞬で血の気が引いた
「三橋くん」
「わかったわかった！俺が担ぐ！」
「う・し・ろ」
言いたいことが分かったのか顔を引きつらせ恐る恐る振り返る
「来ちゃった…」
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作成日時：2019年9月7日 1時
