２４. ページ29
粗方片付いたところで伊藤が座り込んだ
今まで元気に動き回っていたことの方が不思議なのでそれはいい
「伊藤さん！」
「京ちゃん…デートごめんね」
「そんなのいいんです！また別の日にすれば…」
「明美ちゃん連れて先に帰ってて？俺もすぐ帰るから」
送ってあげられなくてごめんね、と頭を撫でている
イチャついてんなぁと思いながらふと隣の今井くんを見ると鬼の形相を浮かべていた
「男の嫉妬は見苦しいぜ」
「何故三橋や伊藤はモテてるのに俺は…！」
「まぁまぁ今井くん、落ち着きなヨ。今はそれどころじゃねーべ？」
未だにイチャつくアベックに近づき、へばっている伊藤に肩を貸す。
そうしてやっと立てる伊藤は散々殴られたであろう腹を押さえながらも彼女には優しい笑顔を向けている。
やだねー、行動まで男前よ
「俺が伊藤くん送るから安心していいよ」
「ありがとうございます！伊藤さん、また電話しますね！」
「うん！俺も帰ったら電話するよ〜！」
「えへへ」
「ほら京子さん行きますよ」
ズルズル引きずられ帰っていった女子2人の背が見えなくなったところで呻き声を上げ始めた伊藤くん
偉いね、見えなくなるまで我慢するなんて
「…つっても俺も限界だからちょっと休みてー」
怪我は大したことはないが人数が人数だった
疲労でフラフラしていおり、伊藤を支えるのに必死でちゃんと歩けるかは定かじゃない
「今井くん、反対持って」
「おう！…どこ行くんだ？」
「どこ行きましょうか」
「…迷惑かけて悪い、そこの倉庫に置いていってくれ」
「それじゃあ倉庫で休んだら帰ろうか」
「よし、この力自慢の今井と呼ばれた俺が全力で運んでやろう」
「お前もフラフラじゃねーか！無理すんなヨ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 111人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2019年9月7日 1時
