検索窓
今日:4 hit、昨日:23 hit、合計:21,407 hit

2 ページ4

翌日の昼休みの時間、僕は響哉にお弁当を渡した。

不思議がる響哉に昨日彼に言われた言葉を口にする。

「愛妻弁当」

おおっ!と響哉から感嘆の声が上がり弁当を食す。

「美味しいっ!Aって料理出来るイメージなかったんだけど、これからは毎日作って貰おうかなぁ」

期待を込めた瞳で見つめられても僕の答えはノーだ。

正直お弁当作りが大変だとは思わなかった。滉に毎日お弁当を作ってる女子は凄いなと思うくらい。

「口に合って良かった。君の好みとか知らなかったし」

「え、マジ?俺の好物ばっかりだからてっきり知ってるのかと……」

目を丸くさせる響哉に苦笑いを浮かべる。

「君のお弁当の中身を真似ただけ。お母さんが作ってるんだろ?なら大丈夫かなって」

折角早起きして作ったのに、不味いとか言われたくなかった。

でも響哉の様子からしてその心配はなさそう。

そう思った時だ。頭上から声が降って来た。

「へぇ、美味しそうだね。Aの手作り?」

見れば飄飄とした笑みを浮かべる滉が立っていた。

女子達は連れておらず一人きりという図に首を傾げる。

「俺の分は無いの?」

「無い」

いやなんで響哉が答えるんだ。

思わずツッコミそうになり僕は咳払いを一つして滉を見上げる。

「何か用?」

そう訊く僕を滉は驚いた様に見据えた。

「彼女に会いに来るのに理由が必要?」

そう言う彼に神経が逆撫でされる。僕の事を散々放って置いたくせに。

「今度俺の分も作って来てよ。Aの手料理が食べたい」

そう迫る滉に困ってしまう。ぶっちゃけ面倒くさい、物凄く。

すると響哉が爆弾発言をした。

「あー駄目駄目。これはAが俺に作った愛妻弁当なんだから」

「は?愛妻弁当……?」

響哉の言葉に滉は息を呑む。かと思えば僕を睨んだ。

「何、愛妻弁当って。説明して」

だが運悪くチャイムが鳴り、滉は悔しそうに自分の教室に戻った。

放課後、やけに機嫌の悪い滉に連れられ彼の家に行った。

家に入ってそうそうソファーに押し倒され責められる。

「何で響哉にお弁当作ったの?面倒くさがりのくせに。俺には一度だってそんなの作ってくれた事無いじゃん」

鬼の様な形相でそう言われ僕は首を竦める事しか出来ない。

「ねぇ、答えて。それとも俺を嫌いになった?飽きたの?響哉を好きになった?」

ポタポタと両目から涙を流す滉にギョッとする。

彼はこんなに感情を剥き出しにする人じゃないのに。

3→←浮気薬。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.6/10 (40 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
17人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:望月海 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年9月12日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。