鈍感な皇后とツンデレ皇帝。 ページ19
この度、婚約者の皇帝陛下の元へ嫁ぐ事になった。
周りの人間は祝福し、両親からの期待にも応えることが出来た。
公爵令嬢の身に生まれたならば政略結婚は避けては通れない。
そう、これは政略結婚。必ずしも陛下に愛情が在るというわけではない。
婚約者として挨拶に行った時も無表情だったあの方の顔を思い出すだけで憂鬱になる。
ましだと思えるのは自分以外に側室が居るというくらいだろうか。
結婚して間もない陛下に皇后以外の皇妃を後宮に迎え入れる事に反対の声はあったみたいだが、丸く収まったようだ。
否、収まらせた。の方が正しいだろう。
だが此方としては何の問題もない。初夜さえ迎えなければそれで良い。
あの方と一晩中ベットの中で愛し合うとか、無理に決まってる。
そんな訳で、特に他の側室を排除するとかくだらない日常を送ることもなく。
公務以外は悠々自適に暮らしている。
お気に入りの本を読んで、自分でも小説を書いたり作詞作曲したり。
日の目を見ることはないけれど、案外これが一番楽しいのである。
そういえば側室の一人が男児を産んだとかなんとか誰かが言ってたような。
ああ、思い出した。陛下直々に言いに来たんだったか。
なぜ自分のところに言いに来たのか解らなかったけど、その時の反応は我ながら無反応といって良かったかもしれない。
全く興味を示さず、どころかそれがなんだと言わんばかりの自分の態度にあの陛下の無表情も一瞬引きつったくらいだった。
いや、でも興味ないものは興味ないし。
所詮はお飾りの皇后なのだから、自分の立場くらいわきまえている。
だのに、今後宮は揉めているらしい。
なんでも陛下の御子を産んだ皇妃が他の側室達からやっかみを受けているという。
バカバカしい。陛下の御子を産んだから嫌がらせをしているとか、後宮に居る女達は何を考えているのか。
下手をしたら未来の皇太子を殺そうとしたとして反逆罪に問われるかもしれないのに。
そして自分も我関せずを突き通すのは些かまずい。
これっぽちも関わろうとしない所為で実は黒幕なのではないかと疑われているのだ。
どうしてそうなった。
今のところ陛下自身は何も言ってこないが、心の中では自分を疑っているに決まっている。
このままだと在りもしない罪で裁かれそうな気がするので早々に手を打った。
まず、表立って皇妃を庇い側室達の罪を暴露した。
すると面白い程に芋づる式で側室達は居なくなり、揉め事も収まった。
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