6話 ページ6
街に戻った僕は、物思いに耽っていた。
シンは、人を殺す事を続けているのだろうか。
暫くは彼の姿を思い出しながら過ごしていた或る日。
トントン、と扉が叩かれた。
誰だろうと思いながらドアを開けると、何かが抱き着いて来た。
突然の事で動揺する僕を余所に、彼は笑顔で言った。
「A、逢いに来たよ」
そういう男は、紛れも無いシン自身で……
僕は自分より身長が高いシンを見上げた。
「何で此処に……」
「やっぱりあんたを諦めきれなかった。Aはさ、俺が不老不死なのを気にしてるんでしょ？だったらAが死ぬ時、俺も死んであげる」
彼の言い分に、ぽかんとした。
「俺の不老不死って、呪いみたいなもんだからさ。呪いをかけた張本人に、Aが死んだ時、俺も死ぬ様に頼んで来た」
話が突飛過ぎてついていけない。
でも、これで彼は寂しい想いをしなくなる……？
安堵した僕は、彼に笑い掛けた。
「会いに来てくれてありがとう。凄く嬉しいよ」
そう言うと、シンは僕を抱きしめた。
「俺家無いからさ、此処に住んで良い？」
同居人が一人増えても、問題は無かった。
空室とか結構あるし。
しかし、シンは次に爆弾発言をした。
「あとは結婚だね！」
……ケッコン？
聞き慣れない単語。
意味は知ってる。けど結婚って、誰が？
「俺と結婚して」
真剣に告げる彼から目が離せない。
けど、急に結婚なんて無理だ。
それで思わず、
「未だ結婚は出来ない」
と言った。
怒るかと思ったが、シンはけろりとして。
「じゃあ結婚したくなったら何時でも言って」
と告げて、自分の荷物を空き部屋に運び出した。
それから、元殺人鬼である彼と生活する様になった。
シンが人を殺した事を僕以外に知る人は居なくて、ご近所付き合いも普通にしていた。
正直出逢った当初は一緒に住む事すら想定していなかった。
寧ろ死ぬかと思った。
けれどシンの心に触れ、彼となら居てもいいとさえ思えた。
そして、気付いたら一週間が過ぎて居た。
シンの美形過ぎる美貌に、街の人達は夢中になっていた。
早く結婚しろと言う人まで出て来て、対応に追われた。
シンは飄々として受け流して居たけど。
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望月海(プロフ) - 瑠色さん» わざわざありがとうございます！探して読んでみますね (2018年9月27日 17時) (
レス) id: e37311db21 (このIDを非表示/違反報告)
瑠色(プロフ) - 話題に出ているようなのでお節介に一言。
ルヴァンネさんという方の「人形師」というシリーズがありまして、人形師が主人公のことをずっと旅人さんと呼んでいるのです。
ホラーがお好きなら、おすすめの作品ですよ。 (2018年9月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 04ea405d06 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - てんてこまいのりーさん» その、ルヴァンネ？さんは存じ上げませんが、彼が主人公を旅人と呼んでる理由は、名前が分からず呼び方に困ったので、旅の者=旅人さんと呼ぶ事にしたのです。何か勘違いをさせたのなら申し訳ありません (2018年9月25日 21時) (レス) id: 9ce190e98a (このIDを非表示/違反報告)
てんてこまいのりー - とても描写や設定が上手く、面白いです…！殺人鬼くんにときめきました(笑)本当に申し訳ない事をお聞きします、旅人さんと呼ぶなど、何処かルヴァンネさんの作品に似ていますが、意図的なものでしょうか…？ (2018年9月25日 20時) (レス) id: c26c235155 (このIDを非表示/違反報告)
紅茶(プロフ) - 望月海さん» そうなんですね！私の友達にも僕っ娘がいるので、なんだか親近感が湧きました笑 お答え頂きありがとうございます！ (2018年9月25日 16時) (レス) id: 3a874cc5aa (このIDを非表示/違反報告)
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