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14話 ページ14

貴方サイド

三日月が嫉妬していたとは思わなかった。

そんな気配すら見せなかった。

だから、嫉妬の感情を持つのは僕だけだと思い込んでいた。

「三日月……嫉妬してたの……?」

そう聞くと、三日月は頷いた。

「好いた女が他の男と居るのは気に喰わないだろう?」

其の言葉を聞き、目を瞠った。

なんと言って良いのか分からず、視線を彷徨わせる。

けれどいきなり大きな掌で顎を掴まれ、強引に三日月の方へ顔を向けられる。

「小さいのに構えば、少しは嫉妬してくれるかもしれないという期待をした」

言いながら、優しく包み込む様に抱擁される。

「だが、俺の方が感情は募るばかりでな。鶴丸がお前の部屋に行くのを見た時、抑えられなくなった」

ああ、そうか……三日月も僕と同じ気持ちだったのか。

愛しい人が、自分以外の誰かを見ている事への不安に。

僕は三日月の背中に腕を回し、力を込めた。

「僕も、嫉妬してた。子供の自分でも、三日月に構われなくなるのは、寂しかった」

必死に、言葉を紡ぐ。

自分の想いを伝えようとして。

「そうか。Aも同じだったか」

三日月は抱きしめる腕に更に力を込め、そっと口吸いをした。

「Aよ、お前は俺の大切な恋人だ。ずっと、傍に居させてくれ」

この時だった。僕の中に在った黒い靄が消えたのは。

三日月に愛してると言われ、嬉しかった。

ずっと傍に居ると言われて、嬉しかった。

三日月から紡がれる言葉の一つ一つが、如何しようもなく恋情を掻き立てた。

愛しい人から言われる言葉程、嬉しい物は無い。

ずっと自分の感情を隠して来た。

それでも、彼が受け入れてくれるなら。

もう、子供の自分に嫉妬する事も無くなるだろう。

「ありがとう。僕も貴方を愛しているよ、三日月」

僕を愛してくれる、彼なら……

そう思い、僕は自分から彼に口付けるのだった。

-fin-

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ちょこクレープ(プロフ) - そうなんですね!ありがとうございます。 (2022年6月16日 22時) (レス) id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - リンさん» 倶利伽羅は大倶利伽羅の愛称ですし、ゲーム内で燭台切光忠から伽羅ちゃんと呼ばれています。知りませんでしたか? (2022年6月16日 21時) (レス) id: 3c48936758 (このIDを非表示/違反報告)
リン(プロフ) - 倶利伽羅ではなく大倶利伽羅ですよ!あっ別に気にしなくてもいいですよ (2022年3月23日 16時) (レス) @page6 id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - ラッキージャーヴィスさん» お待たせしてすみません! (2018年5月14日 17時) (レス) id: e37311db21 (このIDを非表示/違反報告)
ラッキージャーヴィス(プロフ) - 待ってました (2018年5月14日 0時) (レス) id: efdc29cd63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:望月海 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年4月22日 23時

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