11話 ページ11
本丸に帰ると主が玄関前に立っていて僕を見るなり駆け寄って来た。
「A！良かったわ、無事で！」
強く抱きしめてくる主を見て、心配させてしまったと反省する。
「紅葉さんという審神者から連絡があった時は心臓が止まるかと思ったわ。もう無理はしないと約束して？」
主にそう懇願され、僕は深く頷いた。
その後他の刀剣達にも安否を確認され内心もう無茶はやめようと思い直す。
いくら自棄になったからって仲間に迷惑を掛けるのは違っていた。
再度反省しつつ一期に視線を送ると彼は無表情で空中を見つめたまま微動だにしない。
不思議に思ったけど声を掛けられず、結局部屋に戻った。
部屋の中で一期から貰った簪を手に取る。
あの時の彼を思い出し頬を緩めていると背後から気配がした。
それに気付かないフリをして簪を握りしめる。
「……一期」
そっと
今度は無視をせずに顔を上げるとそこには無表情の一期が立っていて。
僕の傍らに片方の膝をつくと押し倒して来た。
冷静に彼を見据えると美しい金色の瞳が僕を捉える。
「……暫く顔を合わせないんじゃなかったの」
冷めた声で吐き捨てると一期の顔が面白いくらいに歪んで。
「あの本丸の私に惚れたんですか？」
「さぁ、どうだろうね？」
はぐらかすと一期はぐっと口を真一文字に引き結び。
「……笑っていたじゃないですか」
「……ハ？」
確かにあの一期一振の前で笑いはしたけど……
僕が困惑していると彼は心底悔しそうにしていて。
「可愛らしい笑顔で、愛おしい者を見るかの如く。あれで惚れていないと言うおつもりですか！？」
取り乱している一期の言葉を翻訳すると、えーと……
「嫉妬、したの……？」
僕の言葉に一期は顔を赤くさせ黙り込んだ。
この反応は……肯定、かな？
思わずぷっと吹き出すと一期は僕のお腹に顔を埋めた。
そのおかげで此方からは彼の真っ赤な耳が良く見える。
可笑し過ぎて笑いが止まらず笑い続けていると腰辺りに力が加わる。
見れば一期は僕のお腹から腰にかけて腕を回して抱きしめている。
「僕の恋人は可愛らしいよ」
そう言うと一期から鋭い視線が飛んで来る。
それすら笑いの材料になるんだから堪らない。
「何時まで笑っているつもりですか」
一期の非難めいた声が掛かり、一旦笑うのをやめる。
すると一期は掠れ声で僕に謝罪をした。
首を項垂れさせながら。
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ちょこクレープ(プロフ) - ありがとうございます！楽しみにしてます！ (2022年6月16日 22時) (
レス) id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)
望月海(プロフ) - ちょこクレープさん» 返信遅れてすみません。次にどの刀剣男士にしようか迷っていたので、時間はかかるかもしれませんが書いてみますね。 (2022年6月16日 21時) (レス) id: 3c48936758 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこクレープ(プロフ) - 面白かったです！できれば、燭台切光忠のバージョンもみたいです！ (2022年5月26日 17時) (レス) @page12 id: 4c69a0ba50 (このIDを非表示/違反報告)
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