2話 ページ2
「えっ！？ これがA！？ えーめっっちゃかわいい〜♡今も可愛いけど小さい頃のAもちょー可愛いね〜〜。すき……」
目をハートマークにさせながら小さい僕にデレデレする主を止める事も忘れ、椅子に大人しく座る小さな僕を凝視する。
この小さい子が、僕……？ 戸惑いの気持ちが強く感情が追いつかない。茫然としていると更に主が小さい僕に距離を詰めようとした。
次の瞬間、小さい僕がビクッと身体を震わせたのを見て、無意識に主の首根っこを引っ掴んだ。
ぐえっ。とカエルが潰れたような声を出した主に気付き、慌てて首から手を離す。
一部始終を見ていた伏山さんは顔を引き攣らせ、お前の刀剣は本当に優秀だな……と言った。
「んでぇ？うちで引き取って欲しいってどゆこと？Aを持ってる審神者は一定数居るのに、うちだけ声かけられるのって変じゃん」
僕の拘束から抜け出した主は不審そうに伏山さんに目を向ける。
「事情が事情なんだ。この神無月Aは、ある日突然政府に現れた。誰かが鍛刀した訳でもなければ、戦場に出て拾って来た訳でもない。恐らく何かのバクだとは思うんだが、原因を究明するまではどこかに隔離した方が良いというのが上の判断でな……」
最後に言い淀んだ伏山さんの話を聞いて、何かを悟ったらしい主は口元に笑みを浮かべる。
「はぁ〜ん、なるほどねぇ。つまり政府は子供の姿で顕現されたAを秘密にしたい。でも政府に置いておくわけにもいかないから、うちにその子を押し付けようって腹づもりね」
段々と主の視線が冷たくなってきたのが分かった伏山さんは、それでも主に頭を下げた。
「頼む、貴様以外に託せる審神者が居ないんだ。ここはどうか……」
「いいよぉ」
あっさりと承諾の返事をした主。それに驚いて主を凝視する伏山さん。
「い、良いのか？」
「え〜、伏山が頼んできたのに何その反応。だってぇ、小さくなったAをうちの本丸で独占できるんだよ？想像するだけでちょー楽しそう♡貰ってくれって言うならぁ、全然貰っちゃうよ〜」
楽しそうに言いながら小さい僕を抱え上げた主は、満面の笑みを伏山さんに向けた。
「役人やめて大正解♡んじゃ伏山、またね〜。A、行こぉ」
スタスタと歩き出す主を追いかけつつ、伏山さんに一礼する。
本丸を出る前より機嫌が良くなった主と、腕に抱きかかえられている小さい僕。
ん〜、なんか大事になりそうな気がする……
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