にひゃくななじゅうさん。 ページ35
白夜 「明石が本当に思ってることを、教えて欲しい。」
国行を探して数分、離れに続く人通りの少ない薄暗い廊下で、主さまの声と、国行の気配を感じた。視界の端で捉えた二人の姿から、何やら真剣な空気を感じ取った私は、思わず壁に身を隠した。
ちらり、と壁から顔を半分出して、二人の会話に耳を澄ました。
明石 「…………主はんも、大体は気付いてはると思いますけど、自分は、あの女が嫌いや。人の体を得て、意思を持ってから、あんなに人の子を憎く思ったことはありまへん。
せやから、あの女をこの本丸に住まわせることなんて、嫌以外のなんでもない。なんなら自分、あの顔を見てしまったら、思わず刀を向けてしまいそうですわ。
あの女には、二度と会いたくない。今でもその気持ちは変わりまへん。一度でも自分から大事な人を奪おうとしたあの女を、自分は絶対に許しません。」
白夜 「……うん。」
ハッキリとした口調で、主さまに言った国行。国行の言葉には、相変わらずやる気を感じなかったけれど、恨み、憎しみ、怒り、そんな感情を、私は体の芯から感じた。距離が離れている私でさえもこんなに感じたのだとしたら、目の前で国行の言葉を受け取った主さまは、たまったものじゃないわね。
国行が、見習いのことをよく思ってないのは分かってた。だけど、こんなにも、見習いのことを憎く思っていたとは、想像もつかなかったわ。
どうすれば良いのか、何と言えばいいのか分からない、と困ったような顔をした主さまに、国行はふっと笑って、「そんな顔せえへんといて下さい。」と声を掛けた。
明石 「自分、反対する気はまーったくありまへんから。」
明石 「一番怖い思いをしたAが、A自身が、見習いに歩み寄ろうとしてはります。そんなAの決心を、無視するなんて自分にはできまへんし、したくありませんからなぁ。」
白夜 「……明石」
A 「国行、」
明石 「それに、主はんがよーく考えた結果なんでっしゃろ? それなら、自分は大丈夫です。」
へら、と笑った国行を見て、胸がきゅっと締め付けられた。
何よ何よ、国行のくせに、カッコいいじゃない……!
778人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「刀剣乱舞」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A(プロフ) - 碓氷時雨さん» なんですって?! ごめんなさい即刻直します!!本当にありがとうございます!そしてすいません! (2020年2月8日 21時) (レス) id: 8464144616 (このIDを非表示/違反報告)
碓氷時雨(プロフ) - 「にひゃくろくじゅうに」の所で清光が清松になってますよ! (2020年2月8日 20時) (レス) id: d4ecd76fec (このIDを非表示/違反報告)
まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A(プロフ) - 愛が止まらない人さん» ありがとうございます!応援して頂けると本当に力になります!頑張りますね! (2020年1月13日 16時) (レス) id: 8464144616 (このIDを非表示/違反報告)
愛が止まらない人(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!!!頑張ってください!!!!! (2020年1月13日 10時) (レス) id: 9082f6abc2 (このIDを非表示/違反報告)
まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A(プロフ) - 絵里奈さん» ありがとうございます!受験も作品も、若いからこそ出せる熱量で頑張っていきます!今作品でも何卒宜しくお願いしますね! (2020年1月13日 8時) (レス) id: 8464144616 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A | 作成日時:2020年1月12日 21時