21話 ページ23
ス「遠征が決まった」
貴『.....』
ス「期間は3週間ほど。場所は...詳しくは言えないけど西の方。結構な激戦地で、ぜひランスロットの力で沈めてきて欲しいと上から...」
貴『誰なの.....』
ス「え?」
貴『私のスザクにそんなこと言う「上」って誰なの!!!!』
私はまた泣いてしまう。泣いたらスザクを困らせる。仕事だから仕方ないのに。今までだってそうやってきたのに。零れ落ちる涙を必死に隠すように大声を上げて怒鳴る
貴『誰なの...ねぇスザク!教えて!』
ス「それは...」
スザクは苦い顔をして黙ったままだ。
その顔を見て私は最悪の発想に至ってしまった。
まさか...まさか...
貴『シュナイゼル...兄上...?』
絞り出すような掠れた声で私が尋ねると、スザクはこくんと頷いた。私は全身から血の気が引いていくのを感じた。なんで私の大切な人をそんな場所に送り込むの...!?
私は兄上への怒りと、なんで私のスザクをという悲しさでまた涙が止まらない。
シュナイゼル兄上が、私とスザクのことを知らないはずがない。何故って兄上だから。
ス「でもね、聞いてA。僕はこの戦いから無事でかえってこられたら、認めてもらえるんだ。シュナイゼル殿下に」
貴『へ...?』
ス「この話はシュナイゼル殿下と直々に話し合いをして決定したことでね。」
スザクが私の涙を優しく拭いながら、認めてもらえるということで嬉しそうに微笑んでいた。
が、私は内心絶望していた。
シュナイゼル兄上にとってこれは言わば試験。
スザクに私の騎士を任せられるかという試験。
でも兄上は昔から日本人のスザクのことを内心ではあまりよく思ってないし、皇族の騎士は当然ブリタニア軍人が務めるものだと思っている。
私はここまで考えてはっとする。
これは試験なんて生易しいものじゃない。試験は試験でも「落とすための」試験だ。
この遠征でスザクを戦死させれば、私が望む騎士はいなくなり、兄上の好きな騎士をオススメと称して私につけることが出来る。
__行ってはいけない。この遠征は罠だ。
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作者名:ぴー | 作成日時:2019年3月1日 2時