冨岡義勇 「深く接吻しろ」 ページ28
リクエスト。
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よ り に も よ っ て フ ァ ー ス ト が こ い つ か よ 。
「何だその顔」
「世界は私に優しくない」
「本当にどうした」
無理ィ〜……無理だよ流石に。こいつとなんか絶対嫌だよ。
ほら今もすげえ仏頂面で木札見つめてるしさァ、あのクソ整った顔見てみ? ムカつくほど綺麗だろ? なのに何で喜怒哀楽がクソ程ねーんだよおかしいだろ。
(注:Aは褒めてるつもりありません)
「何一人で部屋の隅っこに蹲りながら青い顔でぶつぶつ言っている」
「うるせえ的確に私の状態を表すんじゃねえよ」
何だその実況。こいついつもんな長文喋ってたっけ。
そんな私の心中が分かったのか、冨岡は眉間にシワを刻んで「無口だと申告した覚えはない」と言った。まあ確かに。いやでも「僕は無口です」とかわざわざ言ってきたヤツ居たらそれもう無口じゃなくね?
……閑話休題。
路線が大幅にずれてしまった。
「来い」
「……マジ?」
流石にちょっと──いや脳内ではすげえ嫌がってるんだけど──嫌がる素振りを見せる私に、冨岡は黙って腕を掴んだ。
「冗談で、お前にキスしようなどとは思わない」
えっと御免それってどういう、と刹那に思考したが、それを口には出せずに──正確には冨岡の唇に遮られて、何も言えずに終わった。
るる、と口内で好き放題暴れまわる舌。嘘だろこいつ、と予想以上のテクに驚く。そのせいで段々と思考も遮られていく。
「ん、ふっ……! は、」
どんどんどん! と必死に彼の体を叩けば一旦唇が離れる。だがそれは一瞬で、すぐにまた口を塞がれる。唾液が溢れて首を伝う、角度も数度変えられただけなのに全然違う風に感じる。酸欠で頭が回らない。何すればいいのか、苦しいという感情にかき消されて、
とみ、おか、と掠れた声で彼の名を呼んだ。
「〜〜〜ッゲホゲホッ! がはッ、はッ……! ゲホッ、」
「わ、るい」
必死に空気、酸素を吸う。修行の最初の頃みたいに喘ぐ。肺が痛まないのが唯一の救いで、それ以外は何も変わらない。羞恥心が増えただけマイナスと言えよう。
謝罪の言葉を口にする冨岡だが、その声色には動揺が混じっていた。
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廣岡唯 - しのぶさああああああああああああああああああんと蜜璃ちゃんああああああああ (2022年11月30日 9時) (レス) @page18 id: 4e6dbece94 (このIDを非表示/違反報告)
利音 - 嘘つきピエロさん» 走れメロンだよ (2021年9月22日 15時) (レス) @page28 id: a5ff14c25a (このIDを非表示/違反報告)
玄武 - んん” か”っこ”い”い” (2021年7月3日 22時) (レス) id: be050932d4 (このIDを非表示/違反報告)
嘘つきピエロ - 伊黒さんの「死ぬ気で闘え」の序盤の2文って走れメロスでしょうか……? (2021年1月21日 15時) (レス) id: f059c2a2b0 (このIDを非表示/違反報告)
nao0824hito(プロフ) - 不死川さんと冨岡さん私も好きです。 (2021年1月1日 0時) (レス) id: 04378a0bcb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2019年12月26日 16時