セッター ページ22
じゃんけんの結果、セッター役の私、光太郎さんと月島くんのチームとなった。
一応もろにレシーブ受けなくてもいいようにセッターにしてくれたのは嬉しい。
とはいうものの…セッターをやるのは中一の時以来なので綺麗にトスできるだろうかと少し不安になる。基本はアタッカー側にいたものだから。
『よろしく光太郎くん、月島くん。』
木兎「おう！
ガンガン上げてくれ、篠原！」
月島「…お願いします」
大声の光太郎くんについをなすようにそう言った彼は小さく礼をした。
あまりかしこまらなくてもいいのに…もはや烏野一年に接するようにフリーダムに来て欲しい。
先行はこちらのチームで、光太郎さんのサーブから。
最初から強烈なサーブが繰り広げられ、受けたリエーフくんはボールを謎の方向に飛ばすも、クロくんが綺麗にカバーする。
これぞ音駒のレシーブ力か。
京治くんがオーバーで無難に返し、月島くんがレシーブを綺麗に上げてくれる。
さて、私のセットの番…
木兎「ライトー！」
やや真ん中寄りに立つ私より斜め後ろの方から声が聞こえてくる。
一発目から後ろにセットしろと…
無茶を言うなぁ…なんて思いながら、久しぶりのバックトス。
でも、普通になんて面白くないから、ボールを取るのは前の方で視線を月島くんに、普通に前にトスをすると見せかけて、手首を返す。
前に来るのかと一瞬びびった表情を見せた月島くんに反応したブロックに入ろうとしていたリエーフくんは気をとられる。
ふわりと、少しばかり飛距離が乏しいボールはさすがはエース様、綺麗に相手のコートに叩きつけられる。
木兎「っしゃあ！！」
ガッツポーズをしたのち、彼は私を吹っ飛ばさんばかりのハイタッチを求める。
月島「一瞬僕に来るかと…」
ふうと息を吐く月島くんに笑いかける。
怖がるような表情はやめてほしいな。私の顔はそんなに変だろうか？
『普通にバックじゃ面白くないでしょ？
もちろん、前も行くから月島くん飛んでね。』
灰羽「研磨さんのトスみたいっすね…
なんかどこ飛んでくかよくわかんないみたいな」
確かに孤爪くんも省エネを兼ねて直前まで動かずに、でも敵を翻弄させるために視線誘導をよく使っていたな。
純セッターよりは精度は悪いから比べ物にはならないけど。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年4月16日 0時
