光太郎くん ページ18
「ヘイヘイヘーイ！！
君があかーしの従兄弟？」
後部座席が開けられ、京治くんの少し眠そうなおはようございますが聞こえるかと思えばとてつもなくハイテンションな声。
『…はい』
圧倒されて答えられたのはその一言のみ。
後ろに見える京治くんは申し訳なさそうに、頭痛が痛いみたいな顔をしていた。
赤葦「すみません…
車で行くことが知られてどうしてもと…」
どうやら事前から知っていたのか、それとも彼のことだから予測していたのか皐月さんは平然と荷物をトランクに乗せている。
彼ら二人が車に乗り込む。
ゆったりと広い車でも、運動部の男子二人が乗れば流石に少し狭く感じる。
木兎「俺、木兎光太郎！
あかーしの先輩な！」
京治くんを挟んで私の右手をとってブンブンとふった。
なんとも豪快な握手だ。
『私は篠原A。
京治くんの従兄弟で、普段は宮城の方にいるよ。』
よろしく、と真昼の太陽のような明るい笑顔が私に向く。
私の周りにはあまりいない感じだなぁと思いつつも、こちらこそと笑顔を浮かべる。
ーーーーーー
外を眺めたり光太郎くんと京治くんの話を聞いて笑ったり、うとうとしていたらあっという間に今回の合宿が行われる森然高校についた。
皐月さんはあくまでも送迎のみ、のスタンスなのか私たちの荷物を車から降ろしていくつか注意点をいいおえればまた迎えに来ますとだけ言い、帰っていった。
まぁ、明らかに格好が普通の送ってくれたお兄さんではないから(シャツにベストなんて真夏で着ている人は少ないだろうし)、他の人に見られたら距離を取られてしまうとか心配してくれているのだろう。
光太郎くんだから物怖じせずに接してくれるけど、他のみんながそうとも限らないし…
木兎「俺が一番乗りー！」
そう叫んだかと思えば私の荷物をかっさらって体育館の方へと階段を駆け上がっていってしまった。
台風が目の前を去っていったのかと錯覚に陥るほどのパワーの持ち主だ…
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年4月16日 0時
