東京 ページ15
とおるいってらっしゃい。気をつけてね!
ピコンと朝、スマホがなる。
さらに可愛らしい手を振っている猫のスタンプが送ってこられる。
男子バレー部レギュラーメンバーでお揃い。男子が使っていると二度見したくなるような可愛い奴である。
Aいってきます。
A徹も忙しいみたいだし色々頑張ってね!
にゃーん、と文字が書いてある猫のスタンプを送り、スマホをきる。
残念ながら今まで自由にしてきたせいなのか、がんじがらめになりつつある徹やはじめは昨日の午後少しだけ遊びにきただけでまた帰って行き、今日はあれやこれやのレッスンが詰め込まれているとか…
いつもよりラフな服の皐月さんは白いワンピースと麦わら帽を用意する。
軽い生地のそれは風に吹かれると広がり、もはやアニメか何かだろうかと聞きたくなるような服装。…好きだけど。
私が持っているのは小さなショルダーカゴバックのみ。
一歩後ろを歩く皐月さんはスーツケースとその上にトートバックを持っていて重そうだ。
手伝おうとしてもう断られたため、不満そうに見上げれば苦笑いが帰ってくる。
『…何番ホームでしたっけ？』
皐月さんの持つチケットを覗き込む。
仙台、東京行きの特急券に乗車券と何枚もあってややこしい。一枚にしてくれればいいのに。
皐月「１３番ですね。
時間あるので何か買いますか？」
近くにあるパン屋さんやお弁当屋さんを見回す。
確かに、長い間座ってなければいけないから何かしらあったほうがいいかもしれないな…
甘い香りがするパン屋さんでハニートーストなるものと、揚げドーナッツ、そして午前のレモンティーを買う。
皐月さんはミックスサンドとブラックコーヒー。甘いものの気分ではないよう。
ーーーーーー
いくつもの出口がある東京駅で迷うことなく進んでいく皐月さんの背中を追いかける。
…追いかけるといっても、ちゃんと気を使ってくれているので走ることはないが何せ人が多いためくっつかないとはぐれてしまいそうだ。
駅を出ると、皐月さんが耳につけているワイヤレスイヤホンのようなもので連絡を取り、黒塗りのベンツに乗り込む。
流石にここまでは迎えが来ていたようで、駅からは快適に赤葦家へと迎えた。
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2019年4月16日 0時
