花園家 ページ8
教室に戻ると、そこにはすでにひなの姿があった。
彼女は少し険しそうな表情でスマホをいじっている。
気づかないものだから脅かそうと後ろに忍び寄ると、寸でのところで机にぶつかる。
ガタリと軽い机は音を立てて数センチずれる。
花園「っ…びっくりした
なんだ、Aかぁ…脅かさないでよ」
彼女はぱっとスマホを制服のポケットに滑り込ませた。
ぱっと見、チャットアプリの画面のようだったが…そんなにすぐ隠すほどのものだろうか?
…まぁ、友達とはいえ見せたくないのもわかるが…今まではなんでも見せてくれたから少し疑問に思ってしまった。
『ごめん
休み始まった途端いなくなったからどこに行ったのかと思ったよ』
そんなに驚く彼女はあまり見ない…なんて思いながらありきたりな言葉をつなぐ。
花園「うん、岩泉と食べる約束してたし」
ごめんよ、と彼女は小首をかしげて微笑んだ。
そうか、はじめと食べていたのか…
とりあえず自分の席に座り、バッグの中に忘れて行ったスマホを取り出した。
なんて平和ボケか、それとも疲れているゆえか…
『そうだ、今度の日曜日になんかうちでやるらしいから、ひなも呼びなってお母さんが』
ひなは少し考えるような仕草をし、頷いた。
ーーーーーー
ー花園雛乃視点ー
あぁ、Aのお母さんは日曜日のことをちゃんと伝えていないらしい。
それでこれからの人生が大きく変わるだろうに、と思いつつも、大人が決めたことを勝手に覆すことは許されない。
誤魔化すように笑みを浮かべる。
人の表情に人一倍敏感なAでも、ここ最近はその感も鈍っているよう。
病院で入院してから、少し雰囲気が柔らかい。そう思っていたのに…
『…花園家も大変そうだね』
いきなりのその発言に私の表情筋が硬直するのを感じる。
意思の読み取れないAの瞳に射られる。
まだ、私のことは誰からも伝えられていないはず…?
花園「花園家って何、よそよそしいな」
必死に取り繕うも、彼女の表情は冴えない。
今ひとつ、納得のいかないと言いたげな表情。
『そのままの意味だよ。』
花園「やだなぁ…」
声が少し上ずったのを感じる。
彼女はふいと黒板の上にある時計を見た。
予鈴がなり、生徒が一斉に入ってくる。
納得はいってなさそうなものの、Aは周りに人がいる状態では話しにくいのか、カバンを漁り始めた。
すぐに先生が入ってきて、号令がかかる。
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです!(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑!世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2018年8月19日 8時