行方不明 ページ40
息苦しさに意識が覚醒する。
冷たい埃っぽい空気。
寝そべっているここはどこなんだろうか、周りが暗いからよくはわからない…
ゆっくりと起き上がり、暗闇に目を慣らそうと見回す。
周りから聞こえる音は車、揺れる感覚と音からして高速道路だろうか。
…スタンガン自体では気絶はしなかったものの、倒れた衝撃で意識を飛ばしてしまっては元も子もない。
チリチリと痛むわき腹に手を当てた。
指で肌をなぞると小さな跡。
見えはしないが火傷跡になっているのだろうか…
ーーーーーー
ー皐月
家に一人Aさんを置いて買い物に出かけるのはどうかとも思ったが、起きてきたときに何も出すものがないので俺はスーパーに買い物に来ていた。
オーガニック食材を幅広く扱っている大型のスーパーなので車で20分ほどかかるが買い物はここで、と奥様に指定されている。
それにAさんの体調の悪さもこれでマシになってくれるといいのだが…
数日後のインハイ予選のお弁当の材料を吟味しているとスマホからアラームが鳴り始めた。
そこそこの音量でなるそれは周りの視線を集めるがそれを気にしていられる場合でもない。
無意識にしてしまった舌打ちに近くに立っていた女性が俺を睨み付けた。
リビングの窓が何らかの理由で外部から開けられた、と通知される。
手に持っていた買い物かごを床に置き、店を飛び出す。
篠原家にも同じく連絡が入っているはず、向こうの警備係にも電話を入れながら車を飛ばして家へと向かうも、ついた時にはすでに遅かった。
洗面所の床にはAさんが徹さんに貰ったと嬉しそうに報告していたリングと切れたチェーン。
家の中を見回ったところで再び携帯がなる。
今度は電話の方の音。
皐月「あぁ、俺だ。
そのバンどこへ向かった?」
水道業者を装った怪しいバンが防犯カメラに写っていた…と。
ちょうど10分強前か…
今日、家に一人でいた彼女をさらったのだから何かと知っていて、計画していた犯人だと見ていいだろう。
早くに対処し始めないと厄介なことになる。
車はおそらく乗り換えられているだろうし、見た目はあてにならない。
「了解。
数人回してくれ」
短く返し、俺は再び車に乗り込んだ。
Aさんが心を許してくれてきたと思った矢先にこれだ。
信頼を失ってしまっただろうか…
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです!(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑!世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2018年8月19日 8時