赤葦京一 ページ34
ー赤葦京一視点ー
Aにも困ったものだ…
昔から体が周りより弱かった。
冬に雪の中で遊んでいては必ず風邪をひくし、何度か入院したこともあったと聞く。
従兄弟である彼女の体の弱さをどうにかしてあげられないかと、家に行くたびに思った。
いつも綺麗に整えられて、風通しのいい家。
食事はいつもバランスが取れていて、彩りもいい。
叔母さんが頑張っているのに彼女の弱さは一向に良くはならなかった。
彼女だけ苦しんでいるのを見ると辛い。
それが動機で俺は医者を目指した。
アメリカの医大を首席ではなくとも上位で卒業し、彼女を幅広くサポートできるように人脈を広げて、たくさんのことを勉強した。
ありがたいことに赤葦家の血なのか俺は周りより勉強ができた。
すぐに理解することはできたし、何よりも勉強が楽しかったので周りからは天才と呼ばれることも少なくはなかった。
高校の先生に頼んで卒業試験を終わらせ高校生活を2年分スキップした。
さすがお金持ちの家、というか力があるからかすぐにアメリカに渡り、有名な大学の医学部に入学。
俺の家を知っている人はいなくて少し気が楽になった。
さすがに俺ほど若い人はいなかったが、同じく飛び級した生徒が何人か在籍していた。
難関の医学部に飛び級組がここまでいるのはあまりないことらしく、教授が俺たちをよく世話してくれていたのをよく覚えている。
三年前、俺が21の頃Aが青城に入学することが決まった。
ちょうど俺が研修を始める時で、どうにか保健医になれないかと模索すると何と青城の保健医は専攻医を受け入れているところだった。
普段は高校の近くのクリニックで働き、学校がある時間は保険医として過ごすことにした。
さすが有名校なだけあって、保健医といえども今までも腕のいい医者がいたらしいが、ちょうど代替えの時だったらしい。かなりのご高齢で、そろそろ次の保険医を探していたとか。
その話に飛びついて、俺は今年、24で専攻医の研修を終える。
他の医学部在籍の人より何歳も若くて裏口入学を疑われたりしたものもいつのことだったか。
大学に残らないかと教授の誘いを蹴り、総合病院の話を蹴り、俺はとにかくAのそばにいてあげたかった。
大事な妹のような彼女。
どんな、とはいえないけれど、彼女は人を惹きつける魅力を持っていて、俺はその惹かれた人のうちの一人なのかもしれない。
226人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです!(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑!世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あやにゃん | 作成日時:2018年8月19日 8時