崩れる ページ4
浅野ちゃんに話せるほど、私は事情を知らず、そして平静を装っていても、心の中の整理は終わっているどころか、芋づる式に浮かび上がってくる疑問にかき荒らされるばかりだ。
私の部屋は相変わらず殺風景で、そんななかナイトテーブルの上に威圧感を放つ、異様な箱。
古いものなのに傷は少なく、磨き上げられたそれの中身は及川家に嫁ぐものだけが所有し、つけることができる…
無意識にため息が漏れる。
輝くそれとは裏腹に、心は曇るばかり。
無機質な天井を仰ぎ、思考を巡らせる。
不自然な言動を度々見せたお母さんにお父さん。
普通の家庭なはずなのにここらでは偏差値も高く、学費も高いと有名な私立青葉城西高校に行くことを進めた両親。
高校生の割に分厚い徹と私の財布。
おかしなほどに徹に集まる女子。
徹の斎藤先生が私を”狙っているかも”という発言
私をいじめる女子。
それらを知っていながらも特にアクションを起こさない京一兄さん、監督、コーチ。
そして突然消えた彼女達。
それに関わっている風なバレー部３年メンバー。
それらが意味するのは、なんだろうか。
…いや、なんだろうと現実逃避をするのはよくない。
既に私は理解しているはず。
理解できるだけのヒントは得ているはず。
ただ、それを認めたくないだけで…
私の心の中で何かがガラガラと崩れていく様な感覚がする。
悲劇のヒロインになるつもりはないけれど
きっと、私の周りで起きてきたことは全て、家柄の所為だったんだって
強がった、というか、綺麗事をお母さんに言った。
”どんな家庭であろうと…
お父さんとお母さんの娘で、徹の彼女になれたことを嬉しく思うよ。”
それは全てを認識する前だから言えたことだ。今も完璧に理解できたとは言えないけれど…
どんな家庭であろうと、なんていまは思えない。
お金持ちの、良い家柄のお嬢様というのは誰しもが一度は憧れるものだ。
実際、私も幼少の頃は憧れたものだ。お嬢様になりたい、だなんて。
とは言えいきなりそう告げられ、今までの苦労、苦しみが少なくともその理由の一片が家柄だとわかった時、憧れなんて一瞬で崩れ去る。
なぜ、普通の家に生まれてこれなかったのか、と。
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです！(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (
レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑！世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2018年8月19日 8時
