事情 ページ3
『みなさん注目!
部活前にスタメン発表やらを行いたいと思います。』
隣に立つ監督が小さく咳払いをし、ホワイトボードに名前を書き始める。
入畑「セッター、及川
ミドルブロッカー、松川と金田一
ウィングスパイカー、花巻と国見
リベロ、渡
そして…」
変えの選手の名前を読み上げるのが少し遠くに聞こえる。
昨日の出来事がまるで夢だったかの様に私は学校に通っていた。
不自然な点を強いて言えばお母さんのいってらっしゃい、とえがかれた弧が少し強かったこと。
そして反対に昨日休んだことについて何も聞いてこない3年達が妙に怖かった。
入畑「……篠原に頼む」
『え…?』
どこかへ飛んでいた意識をまたここに戻す。
監督は若干不審そうな目を向け、もう一度言った。
入畑「試合に代表マネージャーとして篠原に出てもらう」
『あ、浅野さんじゃなくてですか?』
入畑「まだ慣れてないだろうし、2年の引き継ぎと言ってもまだチャンスはある。
今回は頼む」
はい、と監督に軽く頭を下げた。
この前の試合はひなが出ていたし今回は私か、と勝手に納得した。
入畑「じゃ、解散
各自ちゃんと準備運動してから練習する様に!」
ゲームメイクや、戦略は特に触れずに解散した。
それも徹が監督に認められているからだ。
戦略等は主にこのバレー部主将、司令塔であるセッターの徹が行っている。
北一での経験、そして部内の信頼関係などを築いてきた彼が方針を決める方が今までもしっくりときているのである。
『じゃー浅野ちゃん、準備しにいこっか。』
先に洗濯物やらを用意しに行ったひなに倣う様に私たちも飲み物を作りに行った。
外に出て大きなジャグタンクに水を入れる。
ジャバジャバと勢いよく流れる水を見ると、入院する理由となったあの日の雨を少し思い出す。若干トラウマ…?
浅野「先輩。
…貴大、花巻が何も言ってくれなかったので、私、聞かないべきなんだろうなって思ったんですけど…」
『昨日のこと?』
彼女は小さく頷き、気まずそうに水が溜まっていくタンクの方を流し目でみる。
話すべきか少し悩む。
自分でも状況を全て把握していないため、私が言っても良いものか…
『…ごめんね
自分でも、状況がよく掴めてなくて。
でも、いつか、ちゃんと説明するから』
彼女はわかりました、と少し気持ちを押し込める様に、自分を無理に納得させる様に頷いた。
226人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです!(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑!世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あやにゃん | 作成日時:2018年8月19日 8時