【あんスタ】演劇科のアイドル

33話 初登校 ページ34

「ふぅ…」


姿見で改めて自分の格好を見直す。アイドル科の制服を見にまとった自分の姿には違和感しか感じない。



「翠に見てもらえたらええんやけど………」


今回の転入の件は誰にも話していない。単純に驚く顔が見たいから。


最後にもう一回寝癖がないか確認して玄関に向かう。靴を履いて、ドアをゆっくりと開ける。

外は嫌になるほど太陽が照っており、目を細めて空を見上げる。



「演劇科やないんよな……今日から。」


もう演技を主体とした生活を辞めたせいか、ポロッとでてしまう関西弁にハッとする。


確か翠はこの関西弁が好きだと言ってくれてはいたがなんだか少し恥ずかしい。



階段を下りて、ようやく学校へと歩みを進める。行く人々が自分の顔をチラ見したり二度見をする。正直、顔が整っていることは自覚している。


それにアイドル科の制服を着ているから余計に目立つのだろう。転入の際にテストを受けたが中々難しかったし、僕の知り合いのアイドル科で顔が整っていない奴はいない。



「一人ぐらいブス入れとけばいい感じに引き立て役になるのに……」




我ながら腹黒いと感じながらも考えるのを止めなかった。


現在進行形でスマホは大量のメッセージがきており通知が鳴りやまなくてうざい。(大半が翠であるが)




通知をオフにして校門をくぐる。

朝早くに登校したので周りに生徒は見あたらない。どこからか掛け声が聞こえており正確には部活の朝練に来ている生徒と先生しかいない。



「アイドル科としての初登校か……」




そんな当たり前の事をぼんやり考えながら僕は校舎へとゆっくりと歩いて向かった。

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