繋がりは消えずとも[ky] (ページ14)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:7,661 hit

page14 ページ14

土曜日。
私はフジさんに傘を返すために待ち合わせ場所に向かった。
最寄り駅のカフェだ。
私は行ったことがないのだが、クラスの女子がパンケーキが美味しいのだと話していたことを覚えている。

店内に入り、きょろきょろと辺りを見回すと、Aちゃん、と声がした。
声の方向に振り向くと、そこには人物が二人いて。
一人はもちろんフジさん。
そしてもう1人はー。

「…キヨ。なんでここに…」
「なんでって、大学同じだからこいつと」
「そうなの？」

フジさんとキヨが大学が同じだったなんて。
キヨはキヨ自身のことをあまり話さない。
多分話したくない訳ではなく、面倒なだけなのだと思うけど。

「で？A」
「ん？」
「俺言ったよな？俺以外の男には気をつけろって」

キヨの隣に座った途端、とても楽しそうな笑顔で語りかけてきた。
キヨには何も話さなかったのだが、もしかして怒られているのだろうか。

「怒ってるの？」
「当たり前だろ！見ず知らずの男と連絡先交換するってどういうことだよ」
「フジさんがそういう人なら出会った時に迫ってるでしょ。それともキヨはフジさんがストーカーとでも言いたいの？」
「俺は心配してるの！」
「ふっ…はははは」

私たちが口論しているとフジさんが声を出して笑った。

「あ、いや、ごめんね？キヨってAちゃんの前だと子どもっぽくなるなあって」
「…そうなんですか？」

むしろ、私にはいつも大人っぽく見えていたのだけれど。

「キヨ、基本他人には冷たいよ？俺の扱いなんかすごい雑。だからキヨがそんなに構ってオーラ出すの珍しいなって」
「失礼だな。俺はいつだって優しいわ」
「キヨ、フジさんと仲いいんだね」
「男に嫉妬すんかよA」
「どうしてそういう話になるの？あ、お昼まだだからパンケーキ頼んでいい？」
「お前明日スイーツバイキング行くの分かってる？」
「それ遠回しに太るぞって言いたいの？」
「なんでもないですー」

キヨを睨んでからメニューに目を向ける。
ざっと目を通して、季節のパンケーキといちごショコラパンケーキで迷っていると、横からキヨがメニューを覗き込んできた。

「何で迷ってんの？」
「これとこれ」
「じゃあ半分ずつな」

当たり前のようにそう言って店員さんを呼ぶ。
小さい声でありがと、と呟くとキヨは頭を撫でてきた。

「見せつけてくれるねえ。なんか俺寂しいんだけど」
「なに？半分こしたいのフジ」
「キヨとは嫌だけどAちゃんと…」
「はっ倒すぞ」