第74話 ページ28
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刀と拳がぶつかり合う音と、
私の呻き声が響く。
猗窩座との戦闘は、一方的なものだった。
「せっかく戦ってやってるんだ。俺を楽しませろ!」
奴の拳を防ぐだけで精一杯で、
全力で斬りかかっても簡単に受け止められてしまう。
案外しぶとく戦えているが、力の差は歴然だ。
…そもそも、勝てるとは初めから思ってない。
「予想よりはやるな。だが弱いことに変わりはない。もっと楽しませろ!」
『グッ!』
猗窩座は涼しい顔で強烈な一撃を入れてくる。
なんとか直撃は避けているが、ダメージが蓄積されてきてそろそろやばい。
だけど、倒れるわけには…!
何度も、何度も、立ち上がる。
その様子を見て猗窩座は舌打ちをした。
「何故だ!お前の負けは決まっている!それなのに何故諦めない?お前みたいな弱者のくせに無駄に足掻いて生きるやつは1番嫌いだ!死ね!」
向かってくる猗窩座の拳がゆっくりに見える。
これで終わるのかな。
呆気ないな、と思った。
何してるんだろ、私。
こんなの無駄死にだ。
…鬼殺隊の柱としては。
でも私個人にとって、猗窩座に挑むことはたとえ死のうとも意味のあることなのだ。
『お前と戦って死ねるなら本望だ』
「…!?」
動揺したのか、猗窩座の拳は急所を僅かにずれて突き刺さった。
貫かれたところが痛い。
いや、痛いのか熱いのか冷たいのか分からない。
腕が抜けるのと同時に、地面に崩れ落ちた。
『カハッ…なぁ…
俺、頑張ったと思わないか…?…っ』
「意味のわからないことばかり言うな!
…お前は…さっきから何なんだ……!?俺の何を知っている!一体何者だ!!」
猗窩座が私の髪を掴んで頭を持ち上げる。
しかしそれはうまくいかなかった。
ズルリ。
「!?」
頭は上がらず、黒髪の塊だけが持ち上げられる。
カツラが取れ 、隠していた地毛が広がった。
「お前…女か…!?
いや待て、この髪の色……
……!
そうか、思い出した」
必死に呼吸で止血しながら猗窩座を見上げると、
苛立った態度から一変、不敵な笑みを口元に浮かべ私を見下ろしていた。
「久しぶりだな、A」
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れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時