第68話 ページ21
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そのあとは予定通りに事が進み、特に何事もなく柱合会議が終わった。
今度こそ、屋敷に帰ってゆっくり休もう。
早く休みたい気持ちと、
あまりこの場に長居したくない気持ちとで急いで去ろうとする。
そんな私の肩を何者かが痛いくらいの力で掴んだ。
「テメェちょっと待てェ」
掴んだのは傷だらけの手。
不死川だった。
驚いて振り返ると、不死川は明らかに怒っていた。
…なんで?
想定外の事態に何も言えず呆けていると、無視されたと思ったのかさらに青筋を浮かべた。
「…なんで庇ったァ」
…庇った?
『何の事だ』
意味がわからない。
私が?いつ誰を?
「あのクソ餓鬼が俺に謝れ謝れうるせェ時だよォ!何故テメェが割って入ったんだっつんてんだ!」
『…はっ?』
何のことかはわかった。
確かに私はあのタイミングで竈門炭治郎に説教じみた事はしたけど…
ただ単純にあの子の言動にイラッとしただけ。
不死川の為、という認識はこれっぽっちもない。
たったあれだけのことを、
この人は、庇われたと思うのか。
それは、不死川が自分自身に対して厳しいという事なのか。
それとも…
『流石にそれは考えすぎだ。俺はそんなつもり全くなかった。
これだけの事でそう怒るなど…
そんなに、俺のことが気に食わないか』
決して嫌味ではない。
その意味は言葉の通りだった。
自分で嫌われるようにしたから自業自得なんだけど、そんなに私のこと嫌いなのか、と少ししょぼくれてしまいそう言った。
不貞腐れて出てきた一言に過ぎなかった。
だけど不死川にはもう、私の言葉は言葉の通りには伝わらない。
「ァア!?テメェは俺がテメェのこと嫌いだからいちゃもんつけてるだけだと思ってやがんのかァ!?馬鹿にするのもいい加減にしやがれェ!!」
胸ぐらを掴まれ叫ばれる。
ここでなにか言い返さねば。
霧柱らしく振る舞わねば。
何か言わなきゃ…
『……っ』
無理だ。
目の前には、怒りに満ち溢れた敵意剥き出しの顔。
怖い。嫌だ。
そんな顔で私を見ないでほしい。
私が好きなのは、もっと優しく笑った顔なのに。
泣きそうだけど泣いては駄目、皆が見てる。
色んなことを考えてしまって頭の中がぐちゃぐちゃになる。
どうしよう、私はどうすれば…
「そこまでだ。もうやめろ」
助けてくれたのは冨岡だった。
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れみ(プロフ) - 華花。さん» 華花。様はじめまして!コメントありがとうございます!とても嬉しいです…!続編でも頑張りますのでこれからも呼んでいただけると嬉しいです!! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - Royal×Edenさん» いつも感想ありがとうございます!続編でもまた会えるのを楽しみにしてますね! (2021年11月3日 15時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
華花。(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。れみ様の書かれる言葉の一つ一つが物凄く好きです!お忙しいとは思いますが、体調にお気をつけて更新頑張ってくださいね。続編も楽しみにしております! (2021年11月2日 21時) (レス) @page49 id: 2bd2296ed7 (このIDを非表示/違反報告)
れみ(プロフ) - 柚葉さん» ありがとうございます!実弥たくさん出せるように頑張りますね!!また続編でお会いしましょう〜! (2021年11月2日 0時) (レス) id: c2e31f4a0e (このIDを非表示/違反報告)
Royal×Eden - れみさん» れみさんこんばんはRoyal×Edenです!!夜中までお仕事お疲れ様です。最近は余り仕事の続きやらワクチン接種で感想が遅れて大変御迷惑をかけてしまいました(´д`|||)いよいよ第三章に入りますが一体ヒロインはどうなるのか気になってきます(^w^)♪ (2021年11月1日 19時) (レス) @page49 id: 09a4a3c559 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:れみ | 作成日時:2021年4月21日 19時