【銀魂】沖田隊長、おはようございます【沖田総悟】

出来事すべて ページ4

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ぼんやりとしながら、私は記憶を思い返していた。いや、もしかしたら私は眠っていたのかもしれない。自然な眠気に誘われて頭がふわふわもしてしまって、気付いたら沖田隊長の手のひらを握りながら、ベッドに突っ伏すような体勢になっていた。顔を傾けては、彼が小さく呼吸をする度に上下するところを眺めていた。今の時点で私は起きているのか、それともまだ眠りの内にあるのか、ぼーっとしている頭ではよく分からなかった。ここ最近は、夜中に布団の中で色々なことを考え続けていて眠れていなかったから、それがここに来て一気に押し寄せて来たのかもしれない。旦那の言葉で心が軽くなって、沖田隊長の手はちゃんと暖かくて、安心してしまったのかもしれない。

鈍い動きでゆっくりと、私は真選組に入隊してからのことを思い出す。私が入隊してから暫くは、私は彼がこんなにも暖かいのだということを知らなかった。

あの冬の日。私は真選組に入るために新人隊士募集面接に来たというのに、彼は酷く冷たく冷徹な態度で私を追い払おうとした。女である私は真選組にいらないのだと。私なんかが居ては邪魔なのだと。そう言って私を厳しい目で睨み付けたのだ。それでも彼の反対を押しきって、彼から向けられた刀に刃向かってなんとか入隊できたはいいものの、一番隊副隊長という立場につくことになって、彼のあの酷い態度を更に見ることになってしまって。


けれど、そのひとつひとつが、彼の私に対する想いによるものだった。


私を真選組に入隊させたくなかったのは、女としての私の幸せを守りたかったから。本来なら居られる、居るべき場所に帰したかったから。殺伐とした、極限の生死の境目に、私を立たせたくはなかったから。

意地悪で冷たい態度ばかりを取ってきたのは、素直にそのことを伝えられなくて、伝える術がなくて、私からどんどん嫌われていくのを感じていじけていたから。私が過激派攘夷浪士に捕まった弟の陽太を助けに一人で無謀に立ち向かいに行ったときも、病院でベッドに居る私にそう教えてくれた。


彼はどこまでも優しくて、どこまでも不器用で、暖かい人なのだ。私はそんな彼に、どれだけ救われただろう。どれだけ彼から貰った言葉に心を動かされただろう。


彼と出会った雨の日。再び出会った冬の日。彼が告白してくれた日。泣きそうになりながら自身の想いを伝えてくれた日。私が彼を好きになって恋人になった日。バレンタインもデートも全部全部、私にとって一生忘れられないものになった。

その出来事のすべてに、彼に出会えて良かったと思えた。

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