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ろく ページ6

強がり続けた間にいつしか長い時が流れていて、


私が再び縁壱の会ったのは

彼が老いて、寿命を迎える幾ばくか前でした。







赤みがかった黒髪は白髪に成り果て

瞳は霞みがかっており


あの花札の様な耳飾りはありませんでしたが



私は彼が縁壱だとすぐさま気づきました。








慌てて駆け寄った私に

しわしわになった手で

縁壱はいつかの様に頰を包み込んでくれて。








『…嗚呼、縁壱。お前すらも死んでしまう。』





「人であるが故に…」






縁壱は哀しく笑っていました。







『すまない、縁壱。私は…




私はお前を好いていたのだ。








怖かったんだ。



この感情が。



向き合うことができなかった。




鬼である私が



人であるお前を愛することなどできないと、





私は受け入れることができなかったッ…!!』









「……お前に泣かれるのは、心が痛い…」







いつの日かの様に、また涙を拭ってくれて。



縁壱は底無しに優しくて、


だから、私が余計に汚く思える。





嗚呼、黒死牟…お前の気持ちが分かるよ。



『お前は、純粋すぎる、んだよ…』








「お前…の名は、?」



『……憶えていないよ、』







君が力を振り絞って問うてきているのに

私は答えることすらできない。









『いつか、私は、

お前のことも…忘れてしまうのかなぁ、』




悲しいな、鬼は。




嗚呼、違う。


虚しいのか。









「……初めて、出逢った時。


なんて美しい人だと思った…。」







『…なんだ、それ。


人ではなく、鬼に出逢っていたのだぞ。



私じゃなかったら…死んでいた。』






いや、縁壱なら逆に返り討ちにされていたのかもしれないが。









『なぁ…縁壱。


私の頸を切ってはくれないだろうか…。



私の頸は硬いらしいが、

お前のその赫い刀なら、きっと…



きっと私を殺してくれる。




初めて会ったあの日から、
私はお前の手で終わることを望んでいるのだ。




結局、お前に出会えたこと以外に
私の生まれ落ちた理由など有りはしなかったのだ。』








「…私は鬼によって家族を失った。


鬼狩りとして…
再び会えたお前を斬ろうとしていた。



…だが、斬ることができなかった。」







『嘘だ。
君ほどの実力者ならば、私の頸を斬ることくらいたやすかった筈だ。』









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莉咲(プロフ) - 凄く面白かったです!!ですが、更新が三カ月以上されていないのが残念…。これからも体調に気を付けて頑張ってください!! (2020年12月25日 18時) (レス) id: 0f6e4a6db1 (このIDを非表示/違反報告)
漂白剤 - 早速読みました!!! (2020年9月26日 21時) (レス) id: 836661e0c9 (このIDを非表示/違反報告)
漂白剤 - 早く続きが見たいです!!!!更新頑張ってください!!!とても感動するというかなんというか、とにかく良い素晴らしいお話です!!! (2020年9月22日 10時) (レス) id: 836661e0c9 (このIDを非表示/違反報告)
ogofumi(プロフ) - 魅音さん» お待たせしました。 (2020年6月30日 1時) (レス) id: d6342d80f2 (このIDを非表示/違反報告)
魅音 - とても素晴らしい話なのに更新していないのが悲しいです。待っています。 (2020年6月29日 21時) (レス) id: 8546f06bf3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カナデ x他1人 | 作成日時:2020年4月27日 14時

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