彼らの理想2 ページ8
Aside
「……だから!私はあなたに勝つ!!」
そう言い放ったカナデの目は一瞬金色に輝いた気がした、そしてその剣は俺の喉元ギリギリで止められ俺は顎を自然と上に上げてしまう
……こいつは、はなから俺を倒そうとなんてしてなかった、こいつが倒そうとしていたのはその先……俺に勝った後の世界だった。
つまり、こいつには負けるという考えは存在していなかった……俺に殺されたかも知れなかったのに
すっかり忘れていた、この世界には……
こんな
「私の勝ちだよ……A君」
カナデは静かにそう告げる
「……あぁ、そして俺の負け……降参だ」
剣を地面に置き両手を挙げ俺は白旗をあげる
その時カツンと両手の手の甲に槍の柄が当たったのはまた別の話である。
「……はぁ、勝て……た……?」
カナデが、槍と剣をしまったところで俺はゆっくりと立ち上がる
「あぁ、お前の勝ちだよ……強くなったな、カナデ」
自分で勝利宣言をした癖に勝った気がしてないのか首を傾げているカナデを見て俺は少し口元が緩む
「あ、何にやけてんのさ!……って何がおかしいの!?笑わないでよ!!」
遂には声を出して笑ってしまった俺を見てカナデは頬を膨らませる
「ははっ、悪い……だってなんでお前ずっと同じポーズ取ってんだよ……ブッ!!」
俺が笑っているのは、カナデが剣は無くなったものの先程から俺にトドメを刺した時の格好で固まっているからである
「スキル硬直で動けないんです……」
苦笑いしながら言うカナデは、肩も落とすことも出来ず、それがまた面白かった
「じゃあ、お前俺が降参しなかったら確実に負けてたじゃねえか」
「でも、降参って言ったからね!!私の勝ちだからね!!やっぱ無しはダメだからね!!」
やっと硬直が解けたのか、指を俺の方に向け必死に言葉を並べている
「あはは、分かってるよ。勝った勝ったお前は勝ったって」
「バカにしないでよ、もう!!」
そして起こったのかカナデはそっぽを向いてしまった
流石にやりすぎたか……
「ふぅ……本当にごめん表情がコロコロ変わるのが面白くてさ」
俺は笑いすぎて出た涙を拭い深呼吸し呼吸を整える
「……コホン、じゃあ改めて……お帰りカナデ」
右手をゆっくり伸ばす
「んー、正確に言うと私は帰ってきたけどそのあとA君が出て言ったから逆なんだけど……ただいま!A君」
そしてカナデは満天の笑顔で己が左手を差し出した
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うんピー(プロフ) - 匿名希望の〇〇さん» めっちゃ返信遅れました!!文章は出来上がるのですが2048に添削する時に宙に匙が飛びます笑気長にお待ちくださいm(__)m (6月15日 13時) (レス) id: e3d3ec66ff (このIDを非表示/違反報告)
匿名希望の〇〇(プロフ) - 初コメント失礼します。久しぶりの更新とても楽しみにしていました。これからも無理せずご自分のペースで投稿頑張って下さい。 (2022年11月14日 22時) (レス) @page36 id: e2b4bbe71a (このIDを非表示/違反報告)
うんピー(プロフ) - しゃっぽさん» 返信遅れてすいません!!そう言っていただけると励みになります!!お互い頑張りましょう!d(^_^o) (2020年12月5日 23時) (レス) id: 9f05f7c923 (このIDを非表示/違反報告)
しゃっぽ(プロフ) - 原作とは違う視点からのお話で見応えがありとても面白いです!体調に気をつけて更新頑張ってください。 (2020年11月18日 22時) (レス) id: c0d288733a (このIDを非表示/違反報告)
衛宮 凛 - わああ!!ありがとうございます!これからも応援していきます! (2020年9月20日 22時) (レス) id: f79c5a4222 (このIDを非表示/違反報告)
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