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(香坂)
そのまま突っ切ろうと思っていたロビー、視界の隅に、ふらりと傾く男性が映った。
────え…。
『香坂？』
耳に当てていたスマホから聞こえる京先生の声にはっとして、オフになっていた医者のスイッチを入れる。
「────京先生、すぐに到着ロビーまで来て、男性が倒れた」
細身のカーキーのパンツのポケットに、スピーカー状態にしたスマホを滑り込ませて、驚いている人々の波を掻き分ける。
「すみません、ちょっと通してください」
「お客様、大丈夫ですか!?」
必死に男性の肩を揺さぶっているキャビンアテンダントの手をそっと、軽く牽制する。
「お客様…？」
「私は医者です、消防に連絡してください」
「は、はい！」
下ろしていた髪を片側に寄せて、胸の鼓動を聞くために耳を胸元に寄せる。
────心臓が止まったわけじゃない…。
「わかりますかー？」
呼びかけても無反応な上、必要な器具なんて何もないので、診断のしようがない。
────なんだこれ…熱中症ってわけでも…。
「香坂！」
顎に手を当てて思考の海に飲まれかけたとき、私を引き戻す声に顔を上げる。
駆け寄ってきた彼は荷物を乱雑に放り出すと、私の反対側に回り込んだ。
細いがしっかりと筋肉のついた身体、見上げるほどに高い背。
そしてこの地方ではかなり目立つ関西弁。
「京先生…」
「状況は」
頸動脈に触れながらそう聞く彼に、短く、だがまとめて答えていく。
「目の前で急に倒れた。
顔色もそう悪くないし、心臓に異常があるわけでも、ましてや呼吸器官でもない」
「厄介やな…消防には？」
「いま連絡してもらってる」
何もすることができないどころか、病名を特定することも困難な状況だ。
そんな中で私は、思いつくものを挙げていく。
「癇癪…貧血…あとは軽度の脳内血液循環障害か、エコノミークラス症候群？」
「あぁ、そのあたりが妥当やろうな。
まぁ、この人が海外から感染菌持ってきました言うんやったら別やけど」
一応そのことも視野に入れて、血液や体液には触れてないから大丈夫だとは思うが。
「すみません、お客様」
「どうでした？」
戻ってきたキャビンアテンダントの方に状況を聞いてみる。
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リラン(プロフ) - 前にも読み終わったんですけど、また読みたくなって読んじゃいました笑ところどころ私の好きな小説と似たようなセリフでてきていて、感動っていうかすごく心に響くめんがありました！改めていい作品です！ (2022年7月22日 8時) (
レス) @page42 id: f068be0892 (このIDを非表示/違反報告)
クリスティ38(プロフ) - もはや、オリジナルすぎてコードブルー←ではないと思いますが。一個人の感想ですので……夢主以外にオリキャラだした時点で、オリジナル多すぎな時点でもう脱線というか、名前使った別物に感じました。私が、オリジナルやオリキャラ出すの認めてない人なので…… (2019年9月23日 18時) (レス) id: eb0de2c665 (このIDを非表示/違反報告)
Mitsuki - 最近更新されていないようですが、大丈夫ですか？更新されるのを楽しみにしています。 (2017年11月10日 15時) (レス) id: 45294f18cf (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ - なんなんですか！明日学校なのに泣きすぎて目が腫れてしまうじゃないですか！と怒りたくなるくらい面白かったです。これも、何度目かのコメントですが、何回もコメントしたくなるほど面白いです！更新頑張ってくださいね。 (2017年9月19日 1時) (レス) id: c2c72ce877 (このIDを非表示/違反報告)
Kazsaaaan(プロフ) - 初めまして！ずっと1話から読ませていただいておりまして、今回８話のお話が涙なしでは読めなかったので気持ちを我慢できず感想を書きに来ました！もう！大好きです！過去のお話含め、切なさありキュンあり、ハラハラドキドキな毎話。更新楽しみにしています！ (2017年9月11日 23時) (レス) id: 5f115adcd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年9月5日 0時
