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(藍沢)
冴島の声を受けて、俺と白石だけでなく、フェロー達も一斉にこちらに駆け寄ってくる。
「A…！」
「香坂先生、大丈夫ですか!?」
はやる白石と名取を押さえて、俺はゆっくりとAの傍らに歩み寄った。
「………A」
薄茶の瞳が、天井を映している。
ゆるりとその瞳が、俺のものとかち合って。
切羽詰まっていた何かが、呆気なく切れたような気がした。
「…もう少し意識がはっきりしたら、管を抜く。
京に連絡入れてくれ」
「分かりました…！」
涙ぐんだ冴島が、大急ぎで京に連絡を入れている。
白石は枕元で、肺が空になるまで息を吐き出したのち、Aの手を握りしめて、良かったと小さくつぶやいた。
「おかえり、A…っ！」
いきなりこんなことになって、混乱しているのだろう。
何度も瞬きを繰り返すAの眦から、涙が滑り落ちる。
それを人差し指で拭ってやって、俺もひとつ、大きく頷いた。
「────────…待っていた」
まさしく飛ぶような勢いでICUに駆け込んで来た京は、白石にそんなに走るなと一喝された。
「それどころちゃうやろ！」
「焦る気持ちも分かるけど、Aがびっくりするから！」
「……ふたりとも落ち着け」
俺のひと言に正常運転に戻った京が、落ち着きを取り戻した表情でAに近づく。
「うし…バイタル安定しとるな。
香坂、ちょっと苦しいけど管抜くで」
彼の言葉に、Aは小さくこくりと頷く。
管を抜いてから痰を吸引し、水が飲めるようになるのは明日ぐらいからだそうだ。
まだ喉元の違和感が取れないのだろう、何度も咳き込んで顔をゆがめてから、彼女はゆっくりと俺達を見回した。
「……A、わかるか」
俺がそう問いかけると、緩慢な動作で首をめぐらせて、薄茶の瞳が俺をとらえる。
長いまつ毛に縁取られた瞼が瞬きを繰り返し、うっすらと桜色に色づいた形のよい唇が、言葉を紡いだ。
「…………ぁ……の、…」
小さな、ほんとうに吐息を吐いているだけのような、かすれた声だった。
．
．
．
．
「…………、だ、れ……────？」
たとえ、どんな代償を払ってでも。
それが、どんなに過酷な運命であったとしても。
ただ、失うことだけは。
いやだと思ったのは、他ならぬ自分だ────。
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リラン(プロフ) - 前にも読み終わったんですけど、また読みたくなって読んじゃいました笑ところどころ私の好きな小説と似たようなセリフでてきていて、感動っていうかすごく心に響くめんがありました！改めていい作品です！ (2022年7月22日 8時) (
レス) @page42 id: f068be0892 (このIDを非表示/違反報告)
クリスティ38(プロフ) - もはや、オリジナルすぎてコードブルー←ではないと思いますが。一個人の感想ですので……夢主以外にオリキャラだした時点で、オリジナル多すぎな時点でもう脱線というか、名前使った別物に感じました。私が、オリジナルやオリキャラ出すの認めてない人なので…… (2019年9月23日 18時) (レス) id: eb0de2c665 (このIDを非表示/違反報告)
Mitsuki - 最近更新されていないようですが、大丈夫ですか？更新されるのを楽しみにしています。 (2017年11月10日 15時) (レス) id: 45294f18cf (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ - なんなんですか！明日学校なのに泣きすぎて目が腫れてしまうじゃないですか！と怒りたくなるくらい面白かったです。これも、何度目かのコメントですが、何回もコメントしたくなるほど面白いです！更新頑張ってくださいね。 (2017年9月19日 1時) (レス) id: c2c72ce877 (このIDを非表示/違反報告)
Kazsaaaan(プロフ) - 初めまして！ずっと1話から読ませていただいておりまして、今回８話のお話が涙なしでは読めなかったので気持ちを我慢できず感想を書きに来ました！もう！大好きです！過去のお話含め、切なさありキュンあり、ハラハラドキドキな毎話。更新楽しみにしています！ (2017年9月11日 23時) (レス) id: 5f115adcd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年9月5日 0時
