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(白石)
せわしなく人が出入りする初療室に、ストレッチャーに乗せられた患者が運ばれてきた。
「香坂Aさん29歳、トラックに跳ねられ頭部外傷、脳挫傷のおそれあり。
ならびに、急性冠症候群による心筋梗塞を発症しています。
血圧73の55、頻脈呼吸続いています」
「っ、移します…1.2.3」
朝、元気よくあのいつもの笑顔で病院を出たAの面影は、いまはどこにもない。
ただあるのは、白い肌に痛々しく流れ落ちる赤い血液と打撲痕、そして、冷や汗にぐっしょり濡れた苦しげにゆがむ顔。
白を通り越してもはや青白いその顔には、死期の陰がうっすらと立ち込め始めていた。
「緊急オペや、心臓がいつまでもつかわからん。
橘先生、循環器内科の先生呼んでもらえます？」
「分かった、井上に連絡しよう」
モニターを見つめていた京先生が、いつになく厳しい声で橘先生に問いかける。
「出血は確かに多いが…場所が腹部じゃないだけまだマシだ。
白石、新海に連絡してくれ。
あと頭部CTのオーダーだ」
「もう用意してあるよ、白石先生から連絡もらってな」
初療室のドアが開いて、黒い脳外科のスクラブに身を包んだ新海先生が入ってくる。
「嘔吐はしたのか」
「いや…ただ心筋梗塞を発症している以上、意識障害の原因が脳挫傷なのかは判断しかねる」
とにかくいまは、時間が惜しかった。
フェロー達がこの場にいなくて良かったと、焦る頭の隅で考える。
彼らはきっと、ただ立ち尽くすことしかできなかっただろう。
「オペ室移す前に頭部CT取ってから行く。
京、先に準備しておいてくれ」
「分かった、けど出来るだけ急いでくれよ」
「あぁ」
藍沢先生が、いつも以上に目に見えて焦っているのが分かる。
私達だって、失いたくない存在が、生死の狭間に立っている。
────お願い…。
今回の手術は、大がかりなものになる。
その手術に、あの子の身体が耐えきれるかどうか。
そして、後遺症が残らずに回復できるかどうか。
────神様、もし、もしいるのなら。
Aを、助けて────。
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(藍沢)
「厄介だな…」
目の前に張り出されたその頭部CTを見て、絶望のどん底に突き落とされたような気分になった。
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リラン(プロフ) - 前にも読み終わったんですけど、また読みたくなって読んじゃいました笑ところどころ私の好きな小説と似たようなセリフでてきていて、感動っていうかすごく心に響くめんがありました！改めていい作品です！ (2022年7月22日 8時) (
レス) @page42 id: f068be0892 (このIDを非表示/違反報告)
クリスティ38(プロフ) - もはや、オリジナルすぎてコードブルー←ではないと思いますが。一個人の感想ですので……夢主以外にオリキャラだした時点で、オリジナル多すぎな時点でもう脱線というか、名前使った別物に感じました。私が、オリジナルやオリキャラ出すの認めてない人なので…… (2019年9月23日 18時) (レス) id: eb0de2c665 (このIDを非表示/違反報告)
Mitsuki - 最近更新されていないようですが、大丈夫ですか？更新されるのを楽しみにしています。 (2017年11月10日 15時) (レス) id: 45294f18cf (このIDを非表示/違反報告)
丸メガネ - なんなんですか！明日学校なのに泣きすぎて目が腫れてしまうじゃないですか！と怒りたくなるくらい面白かったです。これも、何度目かのコメントですが、何回もコメントしたくなるほど面白いです！更新頑張ってくださいね。 (2017年9月19日 1時) (レス) id: c2c72ce877 (このIDを非表示/違反報告)
Kazsaaaan(プロフ) - 初めまして！ずっと1話から読ませていただいておりまして、今回８話のお話が涙なしでは読めなかったので気持ちを我慢できず感想を書きに来ました！もう！大好きです！過去のお話含め、切なさありキュンあり、ハラハラドキドキな毎話。更新楽しみにしています！ (2017年9月11日 23時) (レス) id: 5f115adcd4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年9月5日 0時
