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「どうしても、安全に飛んでくれた1万回には目を向けてくれない」
Aが、ヘリの機体にそっと触れながら空を見上げた。
「……当たり前は、誰かが作ってできるものなのに、それを当然と思ってる」
愛おしそうに機体を撫でながら、彼女はきっといま、心の中で謝っているに違いない。
「…奏さんの手術も、同じだと思う」
「恵ちゃん…」
驚いたように振り返った彼女は、思わずといった様子で私と藍沢先生を見比べる。
「私は知ってる。
藍沢先生は、ほかの医者だったら諦めてしまうような状況で、何度も患者を救ってきた。
Aは、患者が1番欲しい言葉をかけてあげて、その心にずっと寄り添って。
ずっと、藍沢先生を────私達を、支えていてくれた。
それを今回のことで、自らなかったことにして欲しくない」
藍沢先生は立ち上がると、ちらとAに視線を投げかける。
まるで、戻るぞと言っているように。
そのまま歩き出した彼を、Aは追おうとしたけれど、その足は私の横でぴたりと止まった。
「患者は、貴方達のような医者を必要としてる」
私の言葉に、小さな身体の動きが止まる。
「…トロント大、辞退することない。
Aも、これ以上自分を責めないで」
「……」
藍沢先生は、何も言わずに去っていく。
隣にいたAが、2、3歩進んだところでこちらを振り返った。
長い髪が、風に遊ばれてはらはらとこぼれていく。
「……ありがとう。
恵ちゃんに…、ううん。
皆に逢えて────良かった」
────その苦しみから逃れる方法はない。
だから、気づいて欲しい。
その重荷を一緒に背負いたいと願う、仲間の存在に。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(藍沢)
「────耕作」
ぱたぱたという軽い足音とももに駆け寄ってきたAは、息ひとつ乱さずにそのまま会話に入った。
「…あれから考えたんだけど、私は、トロント大のこと、もう何も言わない」
その横顔は、何を考え、何を思っているのかまでは掴めない。
「…でも本当は、ほんとは、ね。
私の分まで、世界を見てきてほしかった」
それは、彼女なりの小さな抵抗だった。
薄茶の髪が、勢いよく吹いた一陣の風になびく。
それを右手で押さえつける彼女の表情が、髪に隠れて見えなくなる。
ヘリポートから病院までの道、俺達の間に、会話はなかった。
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琴子(プロフ) - こちらの誤字。先日ボードにお願いした2のリクエスト訂正があります。樋山先生が藤川までとブチ切れる…の樋山。ではなく緋山です。返信不要。よろしくお願いします。また！ (2017年9月4日 16時) (
レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
kii - 白石先生のリクエスト叶えてくださりありがとうございました！本当に白石先生そのもので感動しました！ついに明日はコードブルー放送日ですね！緋山先生がどうなっちゃうのか…更新も楽しみにしています！頑張ってください！ (2017年9月3日 23時) (レス) id: 7fea498993 (このIDを非表示/違反報告)
ayanel(プロフ) - たむ。さん» 訂正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2017年9月3日 18時) (レス) id: 61d33ebdb1 (このIDを非表示/違反報告)
たむ。(プロフ) - 次回予告、「感動」ではなく「感度」になってます!!! (2017年9月3日 18時) (レス) id: 2fb288b2c4 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 藍沢先生誕生日話面白かったです！( ^ω^ )生誕祭ですね♪ 来年も、絶対香坂先生は隣にいますよ♪ (2017年9月3日 15時) (レス) id: eeb5e94ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月29日 0時
