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(灰谷)
怒っていた。
いままで聞いたことのない、低い声で。
「どれだけ昔のことほじくり返したら気が済むのよ…！」
「A、病み上がりなんだから落ち着いて？」
真っ先に階段を駆け下りていった香坂先生を、白石先生がエレベーターのボタンを押しながら、後ろからなだめている。
その背中に、僕は声をかけた。
「どうしてですか！」
「ん？」
香坂先生は、振り返らない。
苛立ったように、髪を括っていたゴムを思い切り取って頭を振る。
「ルール違反をしたのは僕なのに、どうして僕は処分されないんですか」
ひと息でそう言うと、白石先生は香坂先生の背中を撫でていた手を止めて、ゆっくりと口を開いた。
「…貴方が早川さんを急かしたことは、着陸失敗の原因とは認められなかった、それだけ」
ちょうど来たエレベーターに乗り込みながら、それでも納得がいかずに白石先生に詰め寄る。
「僕のせいでしょ！
それでヘリは2週間も飛ばない、助からない人は必ずいる！」
「灰谷先生」
一度吐き出してしまった感情は、止まり方を知らない。
「僕は責めて欲しかった皆に！
お前のせいでヘリは落ちたんだって！」
「────それでどうなる!?
誰かを責めて、それで解決する？違うでしょ！」
僕の声よりずっと通る、涙で震えた声で、その人は叫んだ。
翔北でフェローとして働き始めて、初めて香坂先生がこんなにも怒鳴ったのを、聞いた。
「Aまって、落ち着いて…！」
「…落ち着いてるよ。
灰谷先生が急いでくれって言ったのは、大島さんを助けたかったから…違う？
その気持ちは、みんな同じなの。
私だって、1分でも1秒でも早く、現場に行きたい。
両親の分まで、ふたりが救えなかった命を、私が救いたいって思ってる」
香坂先生は壁に寄りかかったまま腕を組んで、そっと目を伏せた。
「……あのふたりは結婚式に向かう途中だった」
「…うん」
香坂先生は、顔を上げない。
白石先生だけが、俺を見つめている。
胸の奥が、ふさがれて苦しい。
「数時間後には誓を立てて、新しい人生が始まるはずだった。
…なのに…っ、僕のせいで終わった」
頬を、一筋の涙が滑り落ちる。
「……それでも…貴方は医者でしょう」
エレベーターを降りる際、香坂先生が残していった言葉が、心に落ちた。
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琴子(プロフ) - こちらの誤字。先日ボードにお願いした2のリクエスト訂正があります。樋山先生が藤川までとブチ切れる…の樋山。ではなく緋山です。返信不要。よろしくお願いします。また！ (2017年9月4日 16時) (
レス) id: cc1132a1bd (このIDを非表示/違反報告)
kii - 白石先生のリクエスト叶えてくださりありがとうございました！本当に白石先生そのもので感動しました！ついに明日はコードブルー放送日ですね！緋山先生がどうなっちゃうのか…更新も楽しみにしています！頑張ってください！ (2017年9月3日 23時) (レス) id: 7fea498993 (このIDを非表示/違反報告)
ayanel(プロフ) - たむ。さん» 訂正しました、ご指摘ありがとうございます。 (2017年9月3日 18時) (レス) id: 61d33ebdb1 (このIDを非表示/違反報告)
たむ。(プロフ) - 次回予告、「感動」ではなく「感度」になってます!!! (2017年9月3日 18時) (レス) id: 2fb288b2c4 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 藍沢先生誕生日話面白かったです！( ^ω^ )生誕祭ですね♪ 来年も、絶対香坂先生は隣にいますよ♪ (2017年9月3日 15時) (レス) id: eeb5e94ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月29日 0時
