コード・ブルー -Blue Serenade-

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そこで途切れた雪村さんの言葉を不思議に思って、彼女と同じように後ろを振り返って────


「…来ちゃったね」

「すごいサプライズ…」



「Jingle, bells! Jingle, bells! Jingle all the way〜!

Come on a girl who has not received a present yet!(まだプレゼントを貰っていない子はおいで!)」



発音の良すぎるジングルベルを口ずさみながら、小柄なサンタクロースは群がってくる子どもたちにプレゼントを渡している。



真っ白でふわふわの髪とヒゲに、小さな丸メガネ。



たげと、その良すぎる発音とよく通る凛とした声は紛れもなく────。



「ほんと、あの人には参るわ」

「アメリカン、凄いね…」



呆れたような、けれど穏やかな笑みでサンタクロースを見つめる名取先生と、その行動力に感嘆している灰谷先生。



肩をすくめる雪村さんの隣で、視線を横にスライドさせれば。



────あ…。



滅多に見られない驚いた表情の藍沢先生を見つけて、思わず口元に笑みが浮かぶ。



────予想以上にサプライズになったみたいですね、先生。



ちょっと早めのサンタさんが、翔北にも来てくれました。



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(香坂)

無事に袋は空になって、私は服を着替えるために医局に顔を出していた。



「お前今日休みじゃなかったのかよ？」

「と見せかけての午後からです」



ぱちん、と藤川先生にウィンクを飛ばしていると、後ろからいい音を立ててバインダーで頭をはたかれる。



「でっ。

なんで叩くの！」

「…なんとなく」

「理不尽」



美帆ちゃんに涙目で、半日分の仕事は昨日で終わらせましたと言ってみれば、もう一度叩かれた。



「三十路のくせして普通に足出してるの腹立つ…」

「まぁまぁ」



むくれる美帆ちゃんを恵ちゃんが宥めている。



生足はさすがに寒いから、ストッキング履いてるけどそれでも冷えるものは冷える。



────なんで看護師さんズボンにしてくれなかったの…。



香坂先生なら大丈夫です！むしろ履いてください！という、小児科の看護師さん達の若いオーラにやられるがままに渡されたこの衣装。



いわゆるサンタコスというものだ。



────まさかこの年になってこんな服着るとは…。



早くあいつに見られる前に着替えよう、そう思って医局の隣にある仮眠室を借りようと身体を反転させたときだった。

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