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(third party. -第3者-)
「そんなブカブカ着てたら、ますますちっこく見えるじゃん」
「いいの、部屋着は楽チンに限る」
自分が着ているフリーサイズの黒い半袖シャツを広げながら、彼女はのんびりとソファで膝を抱えて本を読んでいる。
普段はしない丸眼鏡姿も悪くないと思っていると、ふと顔を上げた彼女に、彼はどうした?と声をかけた。
「喉乾いたからコーヒー入れようかなって。
飲む?」
「ん、頼む」
よっこいせ、と呑気な声とともにソファから立ち上がろうとした彼女は、あ、と本を見て、それから彼に手招きした。
「ゆび、栞がわりに入れといてよ」
────俺は栞と同類かよ。
少しムカついて、妬いて、彼はとあることを思いついた。
「いいけど、俺のいうこと聞いてくれたらな」
「えー、たかが栞なのに」
「いーから。
…お前からキス、して」
「は…無理だって分かって言ってる」
むくれる彼女に笑い返しながら、彼は立ち上がってほら、と自分の唇を指さした。
「絶対届かないってば…」
「やってみなきゃ分かんないって」
しぶしぶ彼女を立ち上がらせると、うぎぎ、と精一杯の背伸びをしてくる。
────いや、こんなことしてるけど初キスまだだから。
背伸びではやはり無理と悟ったのだろう、今度はぴょんぴょん飛び跳ねてくるもんだから、おかしくなって吹き出した。
「人がせっかく、ない身長を…っ」
「はは、ごめんこれで許して」
彼が一気に近づいたことで、驚いて仰け反った彼女の背中を腕で支えながら、同時に引き寄せる。
軽い、触れるだけのキスのあとに、彼女は頬を染めながら、呆れ顔と照れ顔が混じったような顔で呟いた。
「まわりくどいなぁ…」
「ひっど、感想がそれかよ」
やっぱりムカついて、腰に腕を回して、髪にも手を差し込んでもう1回。
「ちょ、コー、ヒー…────っん」
「あとで」
彼女が物語の世界に再び戻れるのは、あと数分後のこと。
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Mitsuki - いです!お忙しいことと思いますが、更新頑張ってください(^ ^) (2018年1月4日 18時) (レス) id: aed2f04add (このIDを非表示/違反報告)
Mitsuki - 明けましておめでとうございます!もうすっかり香坂先生ファンです笑リクエストで、 香坂先生の新年の目標が聞きた (2018年1月4日 18時) (レス) id: aed2f04add (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 名前変えさせていただきました。以前 仰られていたホンマでっかのやつ見てみたいです~(●^o^●)時系列とか、まぁ 気にしません! (2017年12月29日 22時) (レス) id: 6208755813 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 更新ありがとうございますっ!!神ですね…((T_T)) (2017年12月26日 9時) (レス) id: 6208755813 (このIDを非表示/違反報告)
美月 - 私のところにも香坂先生サンタが来て欲しいです・・・! 素敵なクリスマスプレゼントをありがとうございました! ayanelさんのペースで、これからも更新頑張って下さい! (2017年12月26日 8時) (レス) id: d6d184a47b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ayanel | 作成日時:2017年8月18日 3時