コード・ブルー -Blue steelyard 5-

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「もうさ、いっそのことあんたから言ったら良いじゃん。

そしたら万事解決だよ」

「……そんな簡単に言わないでよ…。

大体ね？2年間同じ現場で働いて、5年越しに帰ってきていきなり、こ、恋人は……無理…」



5年で藍沢先生もAも変わったと思う。



それは技術や感性、容姿や性格すべて。



でも────。



「それに私…あいつのこと好きって実感したの、つい最近だし…」

「えっ」

「は？」

「……はるちゃぁん」



私と緋山先生の視線に耐えきれなくなったAが、泣きそうな声とともに冴島さんに抱きつく。



彼女の頭をよしよしと撫でながら、私達3人はなんとも言えない気持ちで藍沢先生を思った。



────7年越しの両片思い、お疲れ様です。



と。



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(藍沢)

滅多としなかったくしゃみがひとつ出た。



「なんだ夏風邪か？」

「いえ。

…誰かが噂でもしてるんですかね」



────あいつらとかな。



俺の目の前にいるのは、実に6年ぶりだろうか────黒田先生だ。



「………あいつから1週間くらい前に連絡でな、いまはどうしても自分から言う勇気がないから、俺から伝えてくれと頼み込まれたんだよ」



自分で言いやがれってんだ、とぼやきつつ、その表情はやわらかいものになっている。



Aが11年前の事故のあと、黒田先生にお世話になっていたのは彼女から聞いていた。



それこそ、父親のように慕っていた。



「隠してたっていずれバレることだ。

結論から言うと、あいつの病気は────」



心臓が、嫌な音を立てている。









「────急性冠症候群だ」









時が、止まったような感覚だった。



急性冠症候群────言い方を変えれば、いつ心筋梗塞になってもおかしくない状態。



いわば、心臓そのものが爆弾なのだ。



時限式ではなく、運命という手に握られた、手動式の。



「あいつから連絡があったのは、翔北に戻る予定のちょうど1ヶ月前…ちょうど、いまぐらいの時間だった」



翔北に戻る1ヶ月前といえば、彼女はまだノルウェーにいたはずだ。



「本人はストレスと疲労だと言っていたが、あながち間違ってねぇと俺も思う」



若い年代がなってもおかしくないこの病気は、ある程度なら薬で抑えられる。



しかしこの状態が長く続けば、いつ彼女の心臓が止まってもおかしくはない。

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