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(名取)
────あんな顔、するんだ。
後ろで控えていてわかったことが、いくつかある。
ひとつ。
外科医が専門じゃないのに、香坂先生の手際の良さが本当にすごいこと。
ふたつ。
臨機応変な対応力は、脳外科の優秀な先生二人にも引けを取らないこと。
みっつ。
集中しすぎると────周りが見えなくなること。
「香坂先生って手術ってなると目の色変わるよね」
「喋ると、その雰囲気どっかいくけどね」
あれは世間一般に言う、黙ってると美人な人だ。
…あ、聞かれてたら怒られそう。
縫合をしながら、俺たちは思い思いの感想を口にする。
「私たちもあんな手術ができるようになるのかなぁ」
「なる前に僕はクビになってるかも…」
────でもさぁ、あんなにずーっと気張ってたら疲れない？
「……別にあそこまでならなくてもよくない？
医者が全員名医じゃなくてもいいだろ」
え、俺これ誰に言ってんの…？
新海先生？
香坂先生？
藍沢先生────？
「────っ」
なに、この感情。
焦燥？
羨望？
────違う。
同じフィールドに立ちたいという────届かない切望だ。
そして────あの人へのどす黒い感情。
抱いたらいけないそれに蓋をして、俺はひたすら手を動かし続けた。
人はその感情を、嫉妬と呼ぶ。
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(香坂)
「────っはー、…二人ともお疲れ様」
ぐぐっと固まった筋肉をほぐしながら、私はオペ室の隣の洗浄室でフェローたちを見ていた。
目の前では、耕作と新海先生が手を洗っている。
「…助かった」
「いやあ、お前の腕が落ちてないと分かって安心したよ。
香坂先生の初オペも見れたし？」
「人のオペ見て何が楽しいんですか…」
半ば呆れの視線を新海先生に向けた。
「あっ、そういえば…奏ちゃん、待ってるよ」
そうだ、彼女の病室、朝のうちに行こうと思ってたらこんなことになっちゃって、結局行けずじまいだったなぁ…申し訳ない。
「このあとAと行く」
「頭痛も吐き気も相当ある。
普通なら…耐えられるレベルじゃない」
「……っ」
誰も、口を開かなかった。
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Koto(プロフ) - リクエストなんですが、shortstoryで三井先生が香坂先生を溺愛するお話が見てみたいです！ (2017年9月23日 11時) (
レス) id: e1c8bdc482 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - 藍沢とくっつけてほしいです！ (2017年9月1日 5時) (レス) id: 4dd38bd3ac (このIDを非表示/違反報告)
ayanel(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます。リクエスト了解しました、短編で書かせていただきますね(*^_^*) (2017年8月24日 13時) (レス) id: 61d33ebdb1 (このIDを非表示/違反報告)
あおい - ずっと楽しく読ませてもらってます！伏線の張り方とか心情描写まで丁寧で引き込まれます。しかもネタもつきないしすごいですね！！リクエストなんですが、京先生が大阪の病院でモテて、白石先生がそれにちょっと嫉妬する？みたいなものが見たいです！ (2017年8月23日 23時) (レス) id: c0afa0c28c (このIDを非表示/違反報告)
りな(プロフ) - 前作時にはコメ返ありがとうございました！4話読みました。歩那ちゃんの存在が気になります。香坂先生にとって良い刺激といいますか、そうなってくれるのが楽しみです！又短編立浪草のお話も読みました。一週間でも幸せだったのだろうと思うと凄く切なくて泣けました。 (2017年8月15日 1時) (レス) id: 68a6b7d888 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月8日 10時
