7 ページ9
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(緋山)
緒方さんの経過を診てきた私は、藤川とエレベーターにいた。
「緒方さん、上半身の麻痺はシビアだな」
「前みたいにはできないんだよね」
「勿体ないよなぁ、一つ星が」
ドアが開いて目にしたのは、こちらになだれ込んでくるかなりの数の患者と医者とナース。
ただごとではない雰囲気に、私はナースの1人に話しかけた。
「広田、どうした?」
「初療室、救急医療外来は立ち入り禁止になりました。
ドクターヘリの機内が、汚染されているようです…!」
ヘリが汚染。
その言葉の意味を理解するのに、私も藤川もしばしの時間を有した。
一瞬早く身を翻した藤川に続いて、私も後を追う。
────なんであの子の初フライトが、こんなことにならなくちゃいけないのよ…!
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(藍沢)
頭上で響くヘリのローター音。
────来た。
ストレッチャーを名取と横峯、雪村とともに移動させてヘリポートへ走る。
ドアが開いてヘリから距離を取るようにして崩れ落ちた灰谷に、フェロー二人が駆け寄ろうとする。
「だめ!」
酸素マスクをつけたAが、ドアから顔を覗かせて素早く二人を制する。
その姿にほっとしつつ、俺も指示を飛ばした。
「お前らまだ近づくな、医者が全員倒れるのはまずい」
ストレッチャーを雪村に任せ、灰谷を車椅子に乗せて看護師に運んでもらう。
「まず全身洗え」
「藍沢先生、冴島さんが、早く!」
患者の乗ったストレッチャーをパイロットの早川さんと整備士の鳥居さんに運んでもらっているところに着いていたAが、泣きそうな声で叫んだ。
ヘリの中には、酸素マスクをつけてぐったりとしている冴島の姿。
「冴島、わかるか」
呼びかけても反応はない。
そのまま瞳孔を確認して、抱えてストレッチャーに移す。
進めようとしたそのとき、横峯の悲鳴が耳に入った。
「香坂先生!?」
振り返った視線の先にいたのは、ヘリからそう遠くないところで倒れ伏した、Aの姿。
「A…!」
目の前で倒れたのだろう、手を伸ばそうとする横峯と名取を、冴島から手を離して止める。
「触れるな!」
3739人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやみん - 名取先生が、自分に、恋したなんて、最高です!!!!! (2019年8月19日 12時) (レス) id: ac50c68a33 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 16話、朝日は登りつつではなく朝日は昇りつつ、ではないでしょうか? (2019年2月10日 15時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 14話、以外にも耕作だった。ではなく、意外にも耕作だった。ではないですか? (2019年2月2日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 13話冒頭、横峯さんではなく横峯ではないですか?意図されてでしたらすいません (2019年1月18日 22時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
rabbit - 32の下から9行目「手術中にに」となっています。間違っていたらごめんなさい。 (2018年10月6日 23時) (レス) id: fec1ec90ab (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ayanel | 作成日時:2017年8月1日 0時