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「お前もこい」
そう言って走り出す藍沢先生の後を、奏ちゃんに一言断りを入れて追いかける。
初療室に入って手袋を嵌めながら私が見たのは、ストレッチャーの上に白い顔で横たわる、秋本さんの姿だった。
「香坂先生！
もういいんですか!?」
「平気」
名取くんの言葉にそう返して、私は秋本さんの首から腹部を診ていく。
「病棟の渡り廊下から飛び降りた」
「奥さんの目の前で」
「はぁ……最悪だわ」
白石先生と緋山先生の報告に思わず本音が漏れて、顔をしかめる。
転落か……中、えらいことになってるだろうな。
「誰か輸血オーダー！」
「輸血オーダーします」
名取くんが答えてくれるのを耳で確認して、私はモニターの画面を振り返った。
「…まずいね」
「あぁ、大量出血だ。
かなり溜まっている」
「オペ室まで持たないかも」
この出血を一刻も早く止めるには────。
藍沢先生と顔を見合わせて頷いた。
「ここで緊急開腹だ」
「準備お願いします！」
開腹なら私は必須で入れられるんだろう、あの血の海の根本を縫合で止められるか。
「メガネ！」
「あっはい！」
緋山先生の略称には目をつぶろう。
手術着を身にまとって、私は藍沢先生の向かいに立つ。
開かれた腹部は、溢れんばかりの血液で満たされていた。
「白石先生、心停止しそうになったら教えて」
「了解」
「そうなったら私とAで開胸して大動脈遮断するわ」
うん、それが一番手っ取り早いね。
何のためらいもなく腹部に手を突っ込んで血を掬い出す。
容器があっという間に埋まっていく。
「吸引が間に合いません…！」
「手でやるの、早く掻き出して」
「は、はい」
緋山先生の言葉に、灰谷くんはおずおずと手で血を掬う。
まぁ、こんな血溜まりの中に手突っ込むのは始めは怖いもんだよね。
にしても。
「……出血弁どこ…」
あああ、私この作業苦手すぎるって！
藍沢先生早く見つけて…。
────あれ、でもこの位置…。
「………肝臓の破裂？」
「ああ」
「小腸もやられてる」
ダブル出血か…こりゃ持たないぞ。
「白石先生」
「貧脈のまま。
輸血増やして、FFP早く溶かして」
輸血を増やしてその間になんとか…いけるか？
「肝門部遮断する、サテンスキー。
香坂、一通り縫合してくれ」
「わかった」
素早く糸を指に絡め、縫合していく。
「さっすが、速いわね」
「すごい…」
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あやみん - 名取先生が、自分に、恋したなんて、最高です!!!!! (2019年8月19日 12時) (
レス) id: ac50c68a33 (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 16話、朝日は登りつつではなく朝日は昇りつつ、ではないでしょうか？ (2019年2月10日 15時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 14話、以外にも耕作だった。ではなく、意外にも耕作だった。ではないですか？ (2019年2月2日 21時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
Blueheart - 13話冒頭、横峯さんではなく横峯ではないですか？意図されてでしたらすいません (2019年1月18日 22時) (レス) id: d757884bbd (このIDを非表示/違反報告)
rabbit - 32の下から9行目「手術中にに」となっています。間違っていたらごめんなさい。 (2018年10月6日 23時) (レス) id: fec1ec90ab (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年8月1日 0時
