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(黒田)
ほんの最初こそフェロー4人の────いや、その中でも食い気味に患者に接するふたりの男女に面食らった様子の香坂だったが、初療室に入ると素早くバイタルを視界に入れるなど、いつもの動きを見せた。
むしろ入り口で突っ立っているのは、フェロー4人のほうだ。
「滝川珠代さん73歳女性。
顔面損傷あり、呼吸数25」
「どうですか？」
「口腔内の出血が思ったよりひどい。
挿管が必要かもな」
冴島の患者情報を受けて俺に尋ねた森本にそう答え、患者をストレッチャーから処置台へと移す。
「心電図つけますよ」
「左腕に点滴します」
「ズボン切りますよー」
「レベル1繋ぎます」
モニターが心臓の鼓動に合わせて音を鳴らす中、それぞれが指示を出さずとも処置をこなしていく────俺は患者の意識レベルを確認するため、声をかけた。
「滝川さん、聞こえますか、わかります？
わかるようでしたらね、右手を動かしてみてください」
「…反応あります」
素早く患者の手を握って確認したもうひとりの指導医、三井環奈が口角を上げて言う。
「輸血準備お願いします」
「はい」
背後で聞こえる香坂と看護師のやり取りを耳にしながら、手が塞がっているため、代わりに冴島が聴診器を耳に持ってきた。
「呼吸、弱いです────」
突如として、モニターのアラームが鳴り響く。
「挿管してくれ」
誰に言うまでもなくそう指示すると、入り口のほうからゆっくりと手が上がるのが見えた。
「あ…フェローの藤川です、挿管します」
同じフェローの香坂が顔面の損傷の具合を診ているいま、これはチャンスと思ったのだろう、患者のほうへ笑みさえ浮かべながら歩み寄ってくる彼に焦ったのか、隣の女が慌てたように動き出す。
「緋山です、FASTします！」
しかし自ら名乗りを上げたにも関わらず、男────藤川は挿管に手間取っていた。
口腔内の出血がひどく、視界が悪いのだろう。
「……吐血する」
その様子をじっと観察していた香坂が小さく呟いた直後、ごぽりと音を立てて真っ赤な血があふれ出た。
「うわっ…！？」
驚いた声を上げてそのまま固まってしまった藤川をもういいと声をかけて下げ、次の指示を飛ばす。
「消毒して切開セット、チューブ6用意して」
「はい」
香坂が、手袋をはめた右手の指をほぐすのが見えた。
────…やる気か。
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ほち(プロフ) - 続きとても気になります……！更新待ってます…！ (2月14日 9時) (
レス) id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月18日 10時) (レス) id: 572aeb701d (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2019年8月24日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
音夢(プロフ) - 続きが…気になります！！ (2019年6月21日 2時) (レス) id: 11609052e1 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - シリーズとても面白くて、1日で読み終えてしまいました！この小説でのコードブルーがとても好きになりました！ちなみに、劇場版は書かれたりするんでしょうか？お忙しいと思いますが、作成されたら飛んで読みに来ます！頑張ってください！ (2018年8月1日 18時) (レス) id: 132fe7823f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2018年4月4日 15時
