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「おま…！」
「先生！」
俺が思わず振り返るのと、栗山さんが嬉しそうに反応したのはほぼ同時。
陽の光を受けて白く輝く廊下を、鮮やかな青のスクラブに身を包んだ香坂が、ゆっくりとこちらに歩いてきていた。
彼女はストレッチャーのそばに近寄ってくると、栗山さんの顔を見て申し訳なさそうに眉を寄せ口を開く。
「…ごめんね、来るの遅くなっちゃって」
「へーき。
忙しかったんでしょ？この先生から聞いてる」
彼女の返事は、ほんの少しではあるが────やせ我慢のように聞こえた、ような気がして。
「そっ…か。
────いい先生でしょ、藤川先生は」
まさか香坂にそんなことを言ってもらえるとは思ってもみなくて、一瞬呆けたところに、容赦なく鉄槌が下ろされる。
「腕以外はね」
────ははは、図星だっての。
栗山さんの辛辣な返しに香坂も苦笑を浮かべた。
「相変わらず、容赦ないんだから…」
「だってさぁ、ずっとドクターヘリ？のことばっかり言うんだもん」
「そうなの？」
私にも聞かせてよ、とその場に膝を折った香坂に合わせ、俺も栗山さんのストレッチャーのそばに屈んだ。
「…ドクターヘリってさ、最後の砦なんだ」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
(香坂)
────最後の、砦。
それは、確かに私の指導医が言った言葉。
「どんな患者でも、必要とされるなら行く。
絶対に、逃げない。
それが、ドクターヘリだって」
“容赦はしない、いいな？”
“よく似てきたな、あいつに”
黒田先生の言葉が、頭の中を通り抜けていく。
「────俺は、フライトドクターになるよ。
…絶対に、この手でその夢掴んでみせる。
俺は、────あきらめない」
“約束、しましたから”
それは何ものにも変え難い、唯一無二の、誓いのような────。
“絶対に、あきらめません”
藤川先生の引き締まった顔が、数年前の私と重なって。
ふ、とこちらを向いた美樹ちゃんの目から、静かに滑り落ちた涙────それをそっとぬぐってやれば、彼女は淡く微笑んだ。
ゆるゆると持ち上げられたのは、前に見たよりも細くなった右手。
「……握手して。
さいごの、あくしゅ」
藤川先生が私を見る。
小さく頷けば、彼は立ち上がって両手でその小さな手を包み込んだ。
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ほち(プロフ) - 続きとても気になります……！更新待ってます…！ (2月14日 9時) (
レス) id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月18日 10時) (レス) id: 572aeb701d (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2019年8月24日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
音夢(プロフ) - 続きが…気になります！！ (2019年6月21日 2時) (レス) id: 11609052e1 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - シリーズとても面白くて、1日で読み終えてしまいました！この小説でのコードブルーがとても好きになりました！ちなみに、劇場版は書かれたりするんでしょうか？お忙しいと思いますが、作成されたら飛んで読みに来ます！頑張ってください！ (2018年8月1日 18時) (レス) id: 132fe7823f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2018年4月4日 15時
