Encounter. -出会い- 1 ページ3
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(香坂)
“ドクターヘリ────それは、患者にとっての最後の砦だ”
着任初日、そう言ったのは、ほかの誰でもない、私の指導医だ。
初夏の日差しを受けてきらめく海からの照り返しのまぶしさに、思わず目をすがめる────窓から見るこの高さの景色にも、もう臆することはない。
もちろん、最初から怖くなかったと言えば嘘になる。
青く晴れ渡った千葉の上空を、ローター音を響かせるそれは飛んでいた。
深い青色でDoctor-Heliとペイントされ、赤い斜線の入った真っ白な機体が、空の青によく映える。
このヘリ内は、いわば空の初療室。
あらゆる病状の患者に対応できるように備えられた万全の設備と、そしてそれらを巧みに使いこなし、自らの手で消えかけた灯りに、もう一度火を灯すのは────ほかでもない、私たち医者。
このヘリは、私たちを迅速にかつ安全に、患者の元へと運んでくれる。
助けを呼ぶ、まだ生きたいと願う、命のもとへ。
『こちら、翔北ドクターヘリ。
高エネルギー外傷の32歳男性、房総病院にて受け入れ完了。
離陸、9時23分。
これより翔北に戻る、どうぞ────』
『翔北CS、了解しました』
パイロットの梶寿志さんとCS────コミュニケーション･スペシャリストの轟木聖子さんのやり取りをぼんやりと聞きつつ、私は任務終わりのわずかな空の旅を味わっていた。
「あの…」
フライトナース、冴島はるか────私は任務中以外ははるちゃんと呼んでいる────が、ためらいがちに私の隣に座る男性に声をかけた。
彼の名は黒田脩二。
私たちフライトドクターを目指す者達の、指導医にあたる人。
「ん？」
搬送記録の用紙にペンを走らせたまま、黒田先生は冴島さんの呼びかけに応じた。
「今日ですよね、来るの。
ドクターヘリ専門研修生」
「フェローシップか？みたいだな」
「4人って聞きましたけど」
「…ならそうだろ」
黒田先生は大して興味がなさそうに、ぶっきらぼうに答え、そこでようやく搬送記録から顔を上げて窓の外を眺めた。
その横顔をちらりと見やり、私は苦笑する。
────若い人、嫌いだもんねぇ…。
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ほち(プロフ) - 続きとても気になります……！更新待ってます…！ (2月14日 9時) (
レス) id: 9d8af713d5 (このIDを非表示/違反報告)
レモン - 更新待ってます！頑張ってください！ (2020年1月18日 10時) (レス) id: 572aeb701d (このIDを非表示/違反報告)
うたプリ大好き?(プロフ) - 続き気になってます この作品はもう更新されないのでしょうか？ (2019年8月24日 21時) (レス) id: 48370e286a (このIDを非表示/違反報告)
音夢(プロフ) - 続きが…気になります！！ (2019年6月21日 2時) (レス) id: 11609052e1 (このIDを非表示/違反報告)
凛 - シリーズとても面白くて、1日で読み終えてしまいました！この小説でのコードブルーがとても好きになりました！ちなみに、劇場版は書かれたりするんでしょうか？お忙しいと思いますが、作成されたら飛んで読みに来ます！頑張ってください！ (2018年8月1日 18時) (レス) id: 132fe7823f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2018年4月4日 15時
