-14日目- ページ10
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(白石)
「ねぇ、良いでしょう？」
すっかり本調子を取り戻しつつある彼女の回復力には、やはり驚かされる。
そう、たったいま、ベッドの上でむくれる彼女には。
「移植が終わってから一度も会いに行けてないの。
今日は調子が良いし、ね？」
「…微熱も落ち着いてきたし、せっかく優輔くんが来てくれるんだし、少しくらいいいんじゃない？」
助け舟を出した私に、Aのベッドの傍で腕を組んでいた藍沢先生が、無言で視線を飛ばしてきた。
────なぜだろう、すごく居心地が悪い。
「……ぶり返したらどうする」
「自分でさっき、もう大丈夫だろうって診断出したじゃない」
「お前な…」
まっとうな答えを返したAにため息を返した藍沢先生。
彼女がもうひと押しをかけた。
「…だめ？」
これが素なのだから、本当に天然と言いますか。
「ほら、可愛い彼女のお願いなんだから。
心配するのは分かるけど、気分転換だと思って」
普段から身体を動かす機会の多いAにとって、二週間近くもベッドの上、というのは、そろそろ堪えるものがあるのだろう。
その気持ちも、はたまた藍沢先生が人一倍彼女を心配する気持ちも、痛いほどわかる。
────HCUに移れただけでも順調な回復だし、藍沢先生だってそれを分かってるはずだし。
心臓と脳への負担はやはり少なからずあったため、様子見でICUにいたAは、つい最近、HCUに移ることができたのだ。
落ちた体力が戻り、リハビリを開始できるようになれば、あとは一般の病室に移れるだろう。
さて、私がそんなことを思っているうちに、目の前で繰り広げられていたにらめっこに決着がついたようで。
藍沢先生が、くしゃりと自分の前髪でつかんで、肩をすくめながら組んでいた腕を解いた。
「…俺が付き添う。
具合が悪くなったらすぐに連れ戻すからな」
「はぁーい」
まるで親に言い聞かされている子どものような返事をして、Aは満足げに笑うとテーブルの上の本を手に取った。
タイトルは横文字だから、こちらからはよく見えないけれど、おおよそ難しい内容なのは想像がつく。
「明日、楽しみだね」
「うん。
ありがとね、恵ちゃん。
一緒に頼み込んでくれて」
「いえいえ。
今日は早く寝ないとね？」
14日目、我らがスタッフリーダー、成長してます。
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りりり(プロフ) - とても楽しませて頂いております。ひとつ気になったのですが、32ページの副題「At the Xintiandi.」だと上海の新天地という地区を指してしまうのではないでしょうか。意図されての事でしたらごめんなさい。 (2018年9月17日 8時) (
レス) id: 539d09e6a1 (このIDを非表示/違反報告)
ffchr09(プロフ) - もう読み終えているのに読み返したくなります。私も秋生まれ天秤座なので、作品にのめりこんでしまいました。お忙しいと思いますが、劇場版も楽しみにしています。 (2018年9月16日 14時) (レス) id: 3038f6a4cb (このIDを非表示/違反報告)
憂依 - 2日間で読み込んでしまいました。読み進めてくほど、感動しました。雰囲気に浸りたくてBGMはずっとHANABIを聴きながら...笑 素敵な作品ありがとうございました。劇場版...お忙しいとは思いますが、楽しみにしてます。 (2018年8月15日 8時) (レス) id: 8dc691da23 (このIDを非表示/違反報告)
S - 最高に面白い作品をありがとうございました！香坂先生の続きのお話しが是非是非読みたいです！香坂先生ロスで泣けます。素晴らしい作品をありがとうございました！！ (2018年8月5日 10時) (レス) id: 223a468b93 (このIDを非表示/違反報告)
ともみ - 最高の作品でした！ (2018年7月1日 1時) (レス) id: 53269475bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ayanel
| 作成日時：2017年9月27日 0時
