青春をガラス瓶に詰めたなら

恋心は時間にのせて　ko-chan ページ43

時計の針の音だけが虚しく部屋に響く。


『どうしよう…』


現在は11月27日23時47分。そう、私が片思いしているこうちゃんの誕生日13分前。

そして私は今こうちゃんとのLINE画面にメッセージを打っては消して、打っては決してを繰り返している。


『お誕生日おめでとう』


たったそれだけのメッセージだけど日付が変わってすぐに送ってしまったらずっとスタンバイしていたと白状するようなものじゃないか。


『付き合ってたりするわけじゃないし重いよな…』


なんて呟くけど本当は一番乗りでお祝いしたい。

あと1分で誕生日を迎えてしまう。

もういい、誕生日なんだし浮かれてやろう。どうせならかわいいスタンプでもつけて送ってやる。もし気持ちがバレてしまうとしてもそんな
ものはもう関係ない。

スマホの時計と部屋の時計がが0時00分を指したのを確認してメッセージを送信した。


『は〜、送っちゃった』


送ったあとはもう起きている必要はない。明日の朝も早いからもう寝てしまおう、そう思ってLINEのトーク画面を閉じようとした時に目に入った既読の文字。

え、もう見てくれたんだ。だってまだ2分しか経ってないのに。


｢ありがとう！｣


と言ったメッセージの後になんだかよく分からない変なスタンプ。

あ、即既読になっちゃった。不自然かもしれない、どうしよう。


｢お、既読早！笑｣

なんて送られてきた。やっぱり変だったかな。

『メッセージ送ってから画面閉じるの忘れてた！』なんて言い訳をするために文字を打っていたら


｢ね、電話かけてもいい？｣


なんて文が送られてきて心がドキンと跳ねる。はやる気持ちを抑えてスタンプでOKと伝えると、10秒もしないうちに電話がかかってきた。


｢もしもし、電話でてくれてありがとう｣


なんて電話特有の少し低くなった声が聞こえる。


『もしもし、こうちゃん誕生日おめでとう！』

｢へへ、やっぱり直接言ってもらうのが一番嬉しいね｣

『確かに〜！』


なんて会話をする。好きな人とできる電話ってこんな幸せなんだ。


『でもなんで急に電話なんて？』

｢だって好きな人には一番に直接祝って欲しいじゃん。…ま、そゆことだから。ありがとう、おやすみ｣

『えっ…』


一方的に告げられて一方的に切られた電話。電話の向こうでは無機質なツーツーという音が響いていた。



＊

Happybirthdayこうちゃん！

これからも体調に気をつけて頑張って下さい！

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