【wrwrd】え、幹部??……逃げてもいいすか【男主】

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一通り怒られ終わって。

「まぁ、今後は後先考えずに行動すんな。分かったやろな?」

『うっす分かりました。分かったんで頭上げていいっすか』

「……いいよ」

こってり絞られました。怖いわこの子。
なんだかんだで俺を心配してくれたみたいではあるんだけど、怒り方がえげつない。
鬼かお前は。
ゆっくりと、床にぴったりくっつけていた頭を上げる。
…顔が般若みたい。ホラーだね。

…でも。
目を吊り上げて俺を見下ろす姿が様になっているなんて言ったら、怒るだろうか。
迫力があるというか、なんというか。
コイツの昔を知ってる分、嬉しい。
正直そんな風に育てた覚えはないが。
俺が拐われた後の事については何も聞いてないので全く分からない。
何をしてたんだろ。

あと一つ、俺を置いて部屋に戻ろうとするのはちょっと勘弁してください。
場所が分かんなくて迷子になったって俺言ったじゃん。
どうやって帰れと?
ショッピの足首を手で掴んで引き留める。

「うおっ。何やねん、危ないじゃんか」

『……なぁ。できれば、できればなんだが、俺を部屋に連れていってくんない?』

「…そうか。確かにそうだな」

…初めに気味悪そうに俺を見てきたのは見なかった事にしてやろう。
ショッピは部屋に入りかけていた体を出し、俺に手を伸ばす。

『?』

何やってんだ?
その手を見つめてポカンとする俺。

ポク、ポク、ポク、チーン

あ、俺を引き起こしてくれんのか。
ありがたく手を頂戴して、起こしてもらう。
力強いな。

「……今のたっぷり十秒はあった間はなんすか」

『え?……考え事』

パッパッと服についた埃を払い落としていると、前から不機嫌そうな声が聞こえた。
考えてたよ。……この手はなんの為に差し出された手なのか、って事を。
素直に言ったら馬鹿にされそうなので、ちょっと遠回しに言ってみる。
…視線がなんか痛い。嘘は吐いてないし。本当ですって。
……俺ってそんなに信用ならない人間なのか。泣くぞ。
話を逸らしたくて、唐突にさっきの話を始めた。

『そういえばお前、会議室で俺に自分の事忘れてたんだ、とか言ってたけどさぁ。
そういう自分自身こそ、俺の事髪を服の中に突っ込むまで気づかなかっただろ?
おあいこじゃんか』

「なっ…!?そ、それはしょうがないだろ!!普通、生きてるとか思わないし!!
結局は思い出したんだから俺は違うだろ!?」

『そんじゃ、俺が髪をそのままにしてても気づいてたって言えるか?』

「…それは………」

反応が面白かった。

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