【wrwrd】え、幹部??……逃げてもいいすか【男主】

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『離して…くださいっ』

腕とかガッチリ掴んでやがる。
離す気ないな、これは。
軽く鼻歌を歌いはじめたコイツは、俺を捕まえたまま自分ごと座らせた。

え、何。

力尽くで半ば強制的に座らされた俺は、何が始まるのかビビリながらコイツの足の上で固まる。
痛いのはやだなぁ……

『どうせ死ぬんだったらサクッと逝きたいです』

「…そう身構えんといてよ。別に今すぐ殺すってわけでもないんやし」

『…え?』

聞き捨てならない言葉が聞こえた。「今すぐ殺さない」?初耳なんですが。

『……どういうことですか』

ちょっと上ずった声で聞き返すと、コイツはなんでもないことの様に言い連ねた。

「ん、グルさんが『アイツは腕が立つ!どうせだから生け捕りにして色々と判断したらどうだ?』ってな。
まぁ、腕は立つわなアンタ。普通に強ぇし、頭も切れとる。
こっちにとっちゃ、いい人材なんやわ」

…褒められたのだろうか。ちょっと照れ臭い。
ってか、銃のわざと外してる疑惑、あながち間違いじゃなかったんだな。
死なない程度に撃つとあんな感じだったのか。
…どっちにしろ怖い。
それにしても、有益な情報を手に入れたな。あっちの役に立つ、と思われれば生かされるわけか。
……適当に取り繕って、後々抜け出すか。
まぁ、今のところは従順にしといた方が得策だろう。
なんかあそこから抜け出した時点でアウトな気もするけど、まぁしょうがない。

『…ふーん』

「という事で、殺さんからおとなしくしといてや」

ポスポスと頭を撫でられた。くっそう子供扱いしやがって。
…いや、俺はコイツよりは年下か。
どっちにしろ撫でんな。

「にしてもなー、アンタ本当に強かってんなー」

俺の顔をムニムニと引っ張ったりして遊びはじめた。

従順にしなきゃ……手は出さない……

理性で必死に殴ろうとする手を止めながら、コイツの話に耳を傾ける。

「まっさか自分もろとろも突き落とされるとは思わんかったわ」

あれは痛かったなぁ、とか言われても、今現在ケロッとされてる方に言われたくない。
こっちがお前に捕まったのはその痛みも原因ではあるからな。こっちの方が酷いわ。
あとなんか、頭がポヤポヤする。流石に体の負担が強すぎたかな。
体を休めるのに、丁度いいかな…とか思いながらも、寝たら殺られるかもしれんという警戒心があるので何もできない。
でも結局は瞼が重くなって、目がシパシパして……

……………グー。

眠気には勝てんかった。おやすみ。

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