【wrwrd】え、幹部??……逃げてもいいすか【男主】

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「…なぁ、こりぁ一体どういう状況だよ」

『奇遇ですね。僕もおんなじ事考えてました。もはや運命ですよ、きっと。
というわけで僕と一緒に踊りましょう?』

何処かのパーティーで言えば淑女も喜びそうなセリフ。
でも残念、ここはパーティー会場ではない。
ついでにいうと、ここにいる人間の内に女性はいない。
このだだっ広い部屋に人影は2つ。
1つ、いかにも立派な椅子に腰掛けるは金髪のがたいのいい男。
で、その男の眼前で、ナイフを持つ自分。

薄く微笑んでいる俺を見ながら、椅子に腰掛けた男は口を開いた。

「絶対それ真っ赤な花弁咲かせる感じのやつだろ。嫌だよ、俺」

月明かりに照らされ白く輝いているナイフを見ながらも動じないその姿は流石ともいえる。
そう、流石。

『ご名答!!すごいですねぇ…』

俺はもったいぶる様に口を閉ざすと、目の前にいる彼の名を口にした。

『…流石、総統のグルッペンさんってとこですか』

「そうですねー。面倒くさいんで交渉なら早よ条件提示してくれないか?」

『あっはは淡白ぅ』

己の名が敵である俺から出てもさらっと流しやがった。
慣れてますねー。

『はーやんなっちゃうわー。慣れって怖ーい』

クルクルとナイフを弄びながら、さもつまらなそうに言うと彼…グルッペンは笑った。

「そうか?これでも案外驚いてんだがな。ここまで突破されたのは初めてだ」

薄く目を細める姿も様になるんだから嫌になる。
イケメンめ。

『顔面偏差値エグ…』

そっと呟いただけでもこの空間では相手にすぐ伝わる。

「それは嬉しい事で。…で、条件は」

『うっわーすぐに話戻すんですね。大人だわ』

「実際大人だからな。暗殺者様が何をお望みなのか知りたいんですよ」

俺はうーんと考える素振りをして、ちょっと言葉にしてみた。

『いやぁ、そうですね。何がいいんだろ?んー、決めてませんでしたわ。あ』

でも、と呟くと、すっと彼の首筋にナイフを触れさせる。

「……!!」

『時間稼ぎはやめてくださいよ、ね?』

耳元で囁くとナイフを持つ手に力を込める。

『そういうの嫌いなんですよー。あ、あとやっぱりあなたの命が欲しいですね』

「…うえー、ここまで腕が立つとは思わんかったな」

『お褒めに預かり光栄ですね。んじゃさいなら』

最後まで焦りを見せない彼の首をスパッと切ろうとしたその時。

「…でも」

『ん?』

「ちょぉっと遅かったな?残念でした」

ドアからドゴッと鈍い音がなると、蹴り破られた。

『…あらほんと』

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