夏の思い出 ページ6
黄side
また雑木林の向こうから、
夜に似合わない元気な声が響き渡った。
黄「あきと?」
橙「おぉ、終わったか。こっちやでー!」
おーいと手を振ると枝を渡って降りてきた男
よう器用にそんな…
赤「照史っ…あっ、夕べの唇!」
誰が唇やし
あれ?こいつどっかで見たことあるような…
橙「しげ、こいつ知っとんのか?」
赤「のびあがりに襲われとったとこ濱ちゃんが介抱したってん」
橙「ったく、あいつもお人好しが過ぎんねんなぁ…」
黄「のび、あがり?」
橙「さっきの妖怪。一つ目でなんか青かったやろ」
赤「お前、またやられたんや。どんくっさっ!
うっひひひっ!おもろっ!」
腹を抱えて笑う男の口からは綺麗でとんがった歯が
きらりと光る。
そしてまた角や…
赤「またって、しゃーないやろ生えとんねんから」
は?
なんで今俺の考え
赤「なんでってそりゃ俺、「おい」…なにー」
橙「人間にそんなベラベラ喋んな。はよ帰るぞ」
赤「ちぇっ…このデブ」
橙「あぁ"!?」
赤「なんでそんな怒ってんの?腹減っとるんか?」
自分より何倍もガタイのいい鬼相手にヘラヘラとおちょくる。
相当仲が良いんだろう。
やばいめっちゃ怒っとる、金棒振り回してきそうや…!
赤「あっくーーん?」
橙「…、っはぁあああ…お前もいつまでおんねん!」
黄「あぁ、はいはい!帰ります!!」
一目散に山を駆け下りて家に帰る
ぼろぼろの格好に出発では持っていたはずの籠が消えたことに
母親ながら何かを察したらしく、すぐにお風呂と着替えを
用意してくれた
「ほんま、気いつけてな?」
黄「ん。ありがとう…おやすみ」
紫「……ふぅ。」
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作者名:ニョロモ | 作成日時:2022年4月25日 23時