妖怪㐂伝、虹の岡［all］ (ページ12)

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妖の屋敷ページ12

紫side

緑「心配ならあと追えばええやん」

溜息をついた神ちゃんが、隣に座り、二人分のお茶を用意してくれた

あの子の背中を押してから、ずっとぼーっとしてたらしい

紫「…はは、そういうわけにはいかんから」

緑「妖怪から守るためって言えれば早いけど……あちっ」

紫「今の子が信じるわけないからなぁ…あっつ！」

緑「俺が飲むとこ見とったんに何で同じことしてんねん」

昔は頼るものが言い伝えぐらいしかなかったから、
妖も呪いも人間の主軸とされていた

そりゃ敬えとは言わんけどさ、少しは信じてくれても

なぁ？

緑「時代にどうこう言うても意味ないって。その時に
合わせたライフスタイル…うまぁ」

紫「神ちゃん人と関わりすぎてカタカナ多くなった？」

緑「ハイテクでヤングやで！」

紫「なにそれ知らーん！」

こんな会話しとるから照史に緩いって言われるんかな？

あれ？

紫「そういや照史は？しげも、、散歩行ったん？」

緑「えっ！濵ちゃんが言ったからやないん？」

えっ何が？

緑「照史達、あの子の帰り見に行くって出かけたで？」

紫「えぇ！？言ってない言ってない！」

緑「あら～やっぱりあっくん優しいわぁ…、」

はぁ～、と二人で湯呑みを啜っていると、

遠くで聞こえる噂の主役さんの雄叫び

緑「俺あんま詳しくないけど、のびあがりって四国の妖怪
やなかったっけ？」

紫「合っとるよ。徳島とか愛媛辺りのもんやな」

緑「じゃあなんでここにおるの？」

紫「それがまた厄介なんやよなぁ…」

妖怪にも繁忙期がある。
歴史が続いてきた中で根付いた日本の「夏=怪談」文化

肝試しやらで結界を解いたり呼び起こしたりで。

言ってしまえば妖怪にとって、大好物の人間狩り時や

お盆は帰省ラッシュで過疎地域にも人が増えるしな

緑「あぁ～確かに。百鬼夜行もとりわけ豪快やったな」

紫「祭りを楽しむのはえけけど、あの子みたいに罪のない
子を襲うんはなぁ…せめてこの岡ではやめてもらわな」

緑「……濵ちゃん、」

紫「ん～っ、やっぱ見てくるわ！

ちゃんと布団でいびきかいとるとこ確認せんと俺が寝れんっ！」

緑「あぁちょっと！……んはは、いってらっしゃい」

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